12月23日に令和5年度の与党税制改正大綱が閣議決定され、2024年からNISA制度が大幅に改正されることになりました。
今回の改正は、はっきりいってもの凄くお得な神改正と言えるでしょう。
では、その内容を詳しく見ていきましょう。
(この情報は2023年12月31日までの情報をもとに作成しましたので、今後変更になる可能性があります。)
新旧NISA制度の比較表
旧NISA制度(現行)と、今回新しく公表された新NISA制度について、以下に比較表としてまとめました。
上記表は現行制度、令和5年度税制改正大綱、新しいNISA : 金融庁、より筆者が作成。
新NISA制度のポイント
ポイントは以下の3点です。
1.制度が恒久化し、つみたてNISA(つみたて投資枠)と一般NISA(成長投資枠)の併用が可能になった
【比較表の項目①、②】
NISA制度は、2014年1月から一般NISAがスタート、次に2016年4月からジュニアNISA、2018年1月につみたてNISAがスタートしました。
ただ、これまでの制度は期間も限定的なものであり、複雑でした。
今回、新NISAでは制度を恒久化、つみたてNISAと一般NISAの併用を可能にし、ジュニアNISAは廃止しました。
これで制度が凄くシンプルになり、恒久化したことで安心して投資できる制度となりました。
2.年間投資上限額と非課税保有限度額が大幅に拡大した
【比較表の項目③、④】
これまではつみたてNISAと一般NISAの併用ができなかったので、投資額の最大値はつみたてNISAの800万円でした。
ただ、つみたてNISAは年間40万円の枠しか使えず、800万円積立てるのに20年もかかりました。
今回、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠合算で1,800万円までの保有限度額となりました。
しかも年間360万円まで利用可能です。
最短で保有限度額一杯まで利用しようとした場合、つみたて投資枠で月10万円(年120万円)、成長投資枠で月20万円(年240万円)の計月30万円の積立で5年で1,800万円になります(成長投資枠はスポット購入ができるので、積立にする必要はありませんが、積立にした場合と想定しています)。
月30万円✖️12ヶ月✖️5年=1,800万円
次につみたて投資枠だけで、保有限度額一杯まで利用しようとした場合、つみたて投資枠で月10万円積立てて15年で1,800万円になります。
月10万円✖️12ヶ月✖️15年=1,800万円
毎月30万円積み立てるほど資金が潤沢な方は、既に資産をお持ちの中高年層だと思いますので、若い方はつみたて投資枠の月10万円以内の積立になるのではないでしょうか。
ということは、1,800万円の保有限度額を使い切るには最低15年間の投資は必要ということです。
3.非課税保有期間が無期限となり、枠の再利用が可能になった
【比較表の項目⑤、⑥】
旧NISAでは、表のとおり非課税保有期間が決められていました。
新NISAでは非課税保有期間が無期限となり、生涯に渡ってこの保有限度額内で利用が可能となりました。
ここで押さえておきたいことは、枠の再利用が可能ということです。
例えばつみたて投資枠で500万円まで積み立てて、途中売却したとしましょう。
もちろん利益が出ていればその利益は非課税になります(NISAでなければ約20%課税されます)。
旧NISAの考え方であれば、限度額が1,800万円だからこれまで500万円投資したので、残り1,300万円しか使えないと考えてしまいがちですが、限度額は保有限度額なので、売却すれば保有限度額はゼロになります。
ということは、まだ1,800万円まで利用できることになります。
生涯に渡って、保有限度額まで何度も使えるイメージになります。
注意点
投資対象商品の中で、これまで旧NISAでは対象であった商品が、新NISAの成長投資枠では一部対象外となる商品があります。【比較表の項目⑦】
- 信託期間20年未満の商品
- 高レバレッジ型の商品
- 毎月分配型の商品
旧NISAは2023年末までしか買付ができず、新NISAが始まる2024年1月からは継続保有または売却のみです。【比較表の項目①】
旧NISAと新NISAの非課税枠は別枠で管理します。
旧NISAから新NISAへ非課税枠のまま移すこと(ロールオーバー)はできません。
今からできること
この新NISAをベースに長期の運用計画を立てましょう。
旧NISAの投資枠を利用していないのであれば、2023年分のNISA口座を作って投資枠を利用しましょう。
新NISAの非課税保有限度額1,800万円とは別枠で管理されるので、非課税枠が増えることになります。
年間投資枠の大きさで考えるのなら120万円まで利用できる一般NISAがお得かと思います。
ただし、新NISAを1,800万円も利用しないと考えている人は、新NISAがスタートする2024年から投資を開始しても良いかもしれません。