前回、資産形成プランを立ててみよう(後編) - 新NISAで資産形成 において、積み立てる資産は株式(インデックス)にしようという話をしました。
なぜ、株式(インデックス)なのかというと、リターン6~7%で運用が可能で流動性の高い資産は株式しかないからです。
では、株式運用で損はしないのでしょうか。危険ではないのでしょうか。
資産運用のリスクとは
普通に生活している中で、例えば事故に遭う「リスク」という場合、事故に遭う「危険」と解釈します。リスク=危険です。
危険は良くないことが起こる可能性であり、良いことが起こる可能性の意味はありません。
それでは、資産運用の世界のリスクはどう解釈されるのでしょうか。
リスクは「リターンのブレの大きさ」と解釈します。
リターンのブレとは、以下の図の上下の振れ幅のイメージです。(手書きで図が汚くてすみません)
株式をみると、債券よりプラスが大きいけど、債券よりマイナスも大きい。
リターンのブレが大きいのは、明らかに債券より株式です。
この場合、株式は債券よりリスクが大きいと言います。
ここで「リスクが大きい」というのは、「損が大きい」だけでなく、「益が大きい」という意味も含まれます。
株式の集合体は右肩上がりの資産
ここで債券と株式の資産の違いを考えてみましょう。
債券は国、政府、企業が資金を一定の期間調達するために発行するもので、期限まで一定の利息を支払い、期限が来たら元金も満額返します。
基本は満期がある資産なので、購入した時に、運用のリターンが決まります。
定期預金のようなイメージです。
景気が良かろうが景気が悪かろうが、満期まで保有すればその運用のリターンは変わりません。
一方で、株式は企業が期間の定めなく、資金を調達するために発行するもので、利息(配当)の支払いも約束せず、期限もないので、元金を返す必要もありません。
株式の場合、その企業の業績が良ければ株価が上がったり、配当が増え、企業の業績が悪ければ、株価が下がったり、配当が減少したりするので、運用のリターンは変動します。
株式は変動の要素が多いので、どうみても債券より株式の方がリスクが大きい(リターンのブレが大きい)資産と言えるでしょう。
ここで、一つの企業の株式ではなく、株式の集合体をイメージしてみます。
世界中の企業が発行している株式の集合体です。世界株式インデックス指数のようなものです。
当然ながら、世界経済は長期で見れば右肩上がりで成長していますし、今後も成長を続けることでしょう。世界が経済活動をしている限り、成長が止まることはありません。
「世界経済の成長」と「世界の株式の集合体の業績」と「世界株式インデックス指数」の動きは連動していますので、長期的に価格は右肩上がりとなります。
株式のリスクの捉え方
株式の集合体(株式インデックス指数)が右肩上がりの資産とすると、株式、債券の資産価格と期間の関係は以下の図のイメージになります。
確かに株式はリスク(リターンのブレ)は大きいですが、年平均6〜7%のリターンがあるので、長期的に保有すれば、債券より資産価格は上がっていきます。
長期保有を前提とした場合、株式のリスクは大きく軽減されることがわかると思います。
株式のリスクを危険、損をすると捉えるか、短期的なリスク(リターンのブレ)はあるが、長期的にはリターンでリスクは掻き消されると捉えるかによって、株式投資に対するイメージが変わってきます。
リスクの捉え方の問題です。
資産形成のプランのように、毎月積立で株式資産(インデックス)に長期投資すれば、株式投資のリスクは気にする必要はないということが理解できたのではないでしょうか。
安心して株式のリスクを取りにいきましょう。