金利上昇局面では国内債券ファンドは選択しないように

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ネット証券の投信積立契約件数ランキングの1月分がモーニングスターより発表された。

インデックスファンドのグローバル株式型が上位を占める結果となり、違和感はないが、記事にもあるように、「eMAXIS Slim国内債券インデックス」がランキング外から急に9位に浮上してきている。

 

なぜ、このファンドが購入されているのか、少し考えてみたい。

(出所:モーニングスター)

eMAXIS Slim 国内債券インデックスファンドとは

以下、このファンドの月報ですが、設定来マイナスが続いていますが、このファンドの残高は173億円と少しずつですが増え続けています。

最終利回りは0.6%になっているので、満期まで保有すればこの利回りで回ることが想定されます。

ただし、デュレーションが9.0なので、9年以上保有しなければ実現しません。

 

もちろん投信なので途中で売却できますが、金利が今より上昇していた場合、損する可能性も出てきます。

長期で持たないと利回り0.6%が実現しないし、今の金利上昇局面では損をする可能もああります。

信託報酬も0.13%かかるので、実質の利回りは0.5%を下回る水準です。

預金でもオリックス銀行だと7年0.35%になるので、これだったら預金にしてもいいのではないかと思います。

日本人は安全性を求める傾向

下記は、日本銀行が公表している「資金循環の日米欧比較」です。以下のグラフは、各国の資産がどのような配分で保有されているのかを示しています。

日本は米国や欧州と比べると、現金・預金の割合が非常に高く、リスクのない安全のもので運用する傾向にあります。

 

先ほどのファンドは、国債など安全な資産で運用しているので、信用リスク(その債券の発行体がデフォルトするリスク)が小さくて、預貯金と同じ安心感から購入しているのではないかと思います。

でも、金利上昇のリスクについてはあまり考えていないように思えます。

特に長期金利が上昇する可能性が高い今の日本の金利環境からすると、国内債券ファンドでの運用は信用リスク以上大きな金利リスクを抱えているので、注意が必要なのです。

(出所:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較(2021年8月20日)」)

お金の色分けという考え方

お金は3つに色分けができると言われてます。

生活に必要なお金

これは生活費や怪我や病気の治療など何かあった場合などに備える資金です。

目安は月々の生活費の3カ月分〜6カ月分を準備します。

当然ながらこの資金は運用に回せませんので、流動性の高い普通預金においておきます。

将来使う予定のあるお金

これは使う使途や時期が決まっている資金です。

例えば2年後に車を購入する資金、3年後の子供の大学の入学金などです。

期間は3年以内が目安と考えます。

この資金の運用は、普通預金だと金利が全くつかないので、使う予定の期間に併せた定期預金や債券で運用するのが良いでしょう。

当面使う予定のないお金

これが中長期で運用に回す資金になります。

この資金は比較的高めの運用利回りを追求しますので、株式を組み入れたファンドを選択していくと良いでしょう。

国内債券インデックスファンドを選択するのは正しいか

結論、今の金利上昇局面の環境では誤りと言えます。

 

お金の色分けもせず、とりあえず安全そうな債券で運用して預金より少し高い運用を目指そうという考え方ではないかと思います。

期間の長い債券ファンドが金利上昇でどれだけの価格変動がある(価格が下がる)か、想定していないのでしょう。

 

お金の色分けをせず、とりあえず、この国内債券ファンドに資金を大きく入れてしまうと、価格が下がった場合、塩漬けになってしまい、資金を出したくても出せなくなってしまうでしょう。

まずは、お金の色分けをして、当面使う予定のない資金量を割り出し、この部分を株式を組み入れたファンドで運用する、これが正解です。