前回の記事「約16万件のポートフォリオを参考にしてみる」で米国株と金の組み合わせは、米国株に全額投資するよりは、リスクを抑えながらリターンを向上できるのではないかとの話をしました。
記事は以下を参考下さい。
その時のポートフォリオはこちらです。
同様の見解のレポートがないか探してみたところ、以下のピクテのレポートに行き着きました。
内容を見てみると、要点は以下の3点。
- 「金」の価格は株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向
- 分散効果が期待できる米国株式と金の組合せ
- バックテストでは保有する株式に積立てで金を加えることでポートフォリオのリスクが低減
特に、3番目の積立てのところが興味深い箇所でした。
要するに、積立をする場合、米国株式に100%と積み立てるより、米国株式50%、金50%の配分にした方が、リスク抑制効果が高く、効率的なポートフォリオとなる。
特に積立期間内にリーマンショックなど大きな危機があった場合、資産の下落を大きく抑えることができ、結果、元本が保全される確率が高まるといった内容です。
これから積立で資産形成する方には大いに役に立つ内容ですね。
2008年のリーマンショックからの15年間は、世界的な低金利政策をバネにした米国株式や米国不動産の資産価格上昇によって資産運用のパフォーマンスが良好であったといえるでしょう。
インフレ率の上昇及び金利上昇局面を迎えたこれからの経済は、これまでと同じとは言えないと思います。
どこかでリーマンショックのような危機もあるかもしれません。
このような見通しの中、資産形成していくには、これまでのような米国株式や先進国株式一辺倒というよりは、危機に強い金をポートフォリオに組み込んだ方が、結果的にパフォーマンスが良くなるのではないかと考えられます。
長期積立といっても万能ではありませんので、資産分散によりリスク低減という観点も資産形成にしっかり取り入れていきましょう。
今回の記事の積立部分の内容ですが、読む気力がある方は以下のーーー内をご覧下さい。
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毎月10万円を米国株式に全額投資した場合と、米国株式に5万円(50%)、金(円ヘッジ/円換算)に 5万円(50%)投資した場合の20年間の積立シミュレーションが図表4-1です。
ここで累積積立金額は一番下の灰色の部分2,400万円になります。
3本グラフがあって、シルバーで金(円ヘッジ)というのがありますが、ややこしいので、米国株式(円換算)9,252万円と金(円換算)50%+米国株式(円換算)50%7,968万円を比較して下さい。
米国株式と金の同額積立は、分散投資を行っていることもあり、20年間のパフォーマンスが良好であった米国株式への全額投資の場合の積立評価金額を下回っています。
一方、米国株式への全額投資は、価格変動が相対的に大きいこともあり、評価金額が積立金額を下回る期間がありましたが、米国株式と金の同額積立では、概ね評価金額が積立金額(灰色部分)を上回って推移していることがわかります(図表4-2)。
この背景としてはリーマン・ショック時(2008年)のような金融市場の混乱時に金を組合せていたことで、米国株式の単体投資よりも下落率が抑えられたことがあげられます。
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