EV大手テスラの1-3月世界販売が前年同月比9%減と約4年ぶりマイナスとなりました。
中国EVメーカーとの価格競争にさらされ、中国販売が約20%減少したのが響いたようです。
ただ、低迷の原因はそれだけの問題ではなく、EVバブルそのものが崩壊したことが影響していると言えるでしょう。
これまで世界的な脱炭素の流れの中で、EVが注目され、主に先進国と中国で政府が補助金なども付けて、EVを強力に推進してきました。
ただ、結果的に消費者の判断は違ったようです。
これまでも、充電するインフラや充電にかかる時間の問題が指摘されてきましたが、特にこの冬欧米で寒波がきて、EVの弱点が露呈されたのが大きかったようです。
そもそも冬場はバッテリーを寒さから保護するために、ヒーターを使います。
車内を暖めるためにもヒーターを使うので、余計に電力を消費します。
思った以上にバッテリーの消費が激しいのです。
これにより、満タンにしても冬場は航続距離が100kmほど減少してしまいます。
これを想定しないと充電場所まで距離があるため到達できず、大変なことが起きます。
実際に冬場に充電までの計算が狂い、EVが高速道路で大渋滞を起こしたのです。
こうなると大変です。
ガソリン車やハイブリッドなら、最悪、ガソリンを持ってきて自分で補充すればなんとかなりますが、充電の場合そうはいきません。
寒波でEVが止まり大渋滞と想像しただけでもゾッとします。
このような体験から、消費者はEVにリスクを感じ、欧米中心にハイブリッドやガゾリン車シフトが起こっているというのが、最近の流れになります。
これを受け、特に欧州で政府の将来的なEV縛り(◯年後にEVに一本化するなど)を撤回しはじめています。
もう世界の流れは変わりました。
これからはEV一本というよりは、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車も消費者が選択できるようになったのです。
冒頭のように、このEVバブルで最も恩恵を受けていたテスラ車が売れなくなったのも頷けるのではないでしょうか。
テスラ社の株価を見てみましょう。
下記の通り、株価はピーク時から半減しており、下げ止まる気配が見られません。
一方で、欧米自動車会社がEV一本化に動く中、全方位戦略(ガソリン、ハイブリッド、EV)をとっていたトヨタの販売台数は急増し、一人勝ちの状況になっています。
トヨタの株価を見てみましょう。
この1年で2倍になっています。
自動車産業というのは、部品も含めると雇用者も多く裾野が広い産業なので、各国経済全体に影響を与えるのです。
トヨタが好調な今、日本の景況感が欧米に比べて良くなってきているのは、頷けるのではないでしょうか。
世界株に投資するのであれば、日本株のウエイトを高めにしていきましょう。