日本企業の半導体投資計画
ソニーグループや三菱電機など日本の主要8社が、2029年までに5兆円規模の半導体投資を計画しています。
特に、経済安全保障上重要なパワー半導体や画像センサーの増産に焦点が当てられています。
これらの巨額の投資は、日本の半導体産業の再興を期待させます。
主要企業の投資計画詳細
- ソニーG:半導体画像センサーの増産に2021〜26年度で約1兆6000億円を投資。
- 東芝とローム:パワー半導体の増産に約3800億円を投資。
- 三菱電機:SiC製パワー半導体の生産能力を2026年度までに5倍に拡大。
- ラピダス:2ナノメートルの最先端半導体生産に向け、2兆円規模の投資を計画。
日本の半導体産業の歴史と現状
日本の半導体産業は1988年に世界シェアの50%を占めていましたが、韓国や台湾企業の台頭により、2017年にはシェアが10%を下回りました。
ただし、ここにきて世界の半導体のサプライチェーンの中で日本の役割が大きく見直されています。
というのも、米中対立からなる半導体規制によって、中国で半導体を生産して世界に輸出するということに制限が出てきたからです。
世界の半導体生産の中心である台湾企業もこれまでのような中国の生産拠点を見直し、日本や米国へ半導体の生産拠点を移転しつつあります。
政府の支援策
経済産業省は2021〜23年度に3兆9000億円の予算を半導体産業支援に充てており、このうち3兆円を国内外の主要半導体企業向けに準備しています。
日本企業の5兆円投資に対しても、約1兆5000億円の補助を行う予定です。
日本の半導体シェアと今後の展望
英調査会社オムディアによると、2023年の日本企業の半導体販売額シェアは8.68%と、7年ぶりに上昇に転じました。
下記の円グラフを確認して下さい。
そもそも日本は半導体製造装置と半導体部材シェアで見ると、下記の通り高いシェアを保持しています。
この高いシェアからもわかるように、製造装置も部素材も日本で調達できることから、日本の工場での半導体生産は非常に効率の良いものとなるでしょう。
今回の5兆円規模の半導体投資計画(うち政府1兆5千億円補助)は、日本企業と政府の本気度の表れです。
投資家としても日の丸半導体復活を応援する意味も含め、中長期の視点で資金を投じてみてはいかがでしょうか。
(出所:楽天証券)