金相場が最高値更新!年初来約20%上昇の背景と今後の見通し

(出所:2024.3.7付日経新聞)

はじめに

金スポット相場は1オンス=2,465.32ドルまで上昇し、5月下旬に付けた従来の高値を上回りました。

2024年に入り、金価格は連日のように最高値を更新し続けており、年初来で約20%の上昇を記録しました。

この急激な価格上昇の背景には、複数の要因が絡み合っています。

本記事では、金価格上昇の要因を詳しく分析し、今後の見通しについて考察します。

金価格上昇の主な要因

米国の利下げ期待

米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対する市場の見方が、金価格上昇の主要因となっています。

パウエルFRB議長が 15日のインタビューで「4~6月(第2四半期)の経済データで、インフレが当局目標の2%に向かって低下しているとの自信を政策当局者が深めた」と述べました。

インフレ率の低下と経済指標の軟化を受けて、2024年後半にも利下げが開始されるとの期待が一気に高まっています。

この米国の金利低下は、ドル安をもたらし、米ドルとの間で金の相対的な魅力を高める効果となっています。

地政学的リスクの高まり

中東情勢の緊迫化や、ウクライナ情勢の長期化など、世界各地で地政学的リスクは高まるばかりです。

こうした不確実性の増大は、安全資産としての金の需要を押し上げる要因となっています。

インフレ懸念

各国のインフレ率は落ち着きを見せているものの、依然として中央銀行の目標を上回る水準にあります。

金は伝統的にインフレヘッジとして認識されており、この懸念も金価格を支える要因となっています。

金価格上昇が与える影響

投資家への影響

金価格の上昇は、金を保有する投資家にとってはポートフォリオのパフォーマンス向上につながります。

一方で、新規に金投資を検討している投資家にとっては、買い時を見極めることが難しくなっています。

各国経済への影響

金価格の上昇は、金を産出する国々の輸出収入増加につながる可能性があります。

一方で、金を多く消費する国々(特に宝飾品産業が盛んな国)では、コスト増加の要因となる可能性があります。

関連産業への影響

金鉱業や宝飾品産業など、金に関連する産業にも大きな影響を与えます。

金鉱業では利益率の向上が期待される一方、宝飾品産業では原材料コストの上昇による収益性の低下が懸念されます。

金投資の方法

現物金

金貨や金地金の購入は、最も直接的な金投資の方法です。

ただし、保管(管理コストなど)や税金(譲渡所得として確定申告)に注意が必要です。

金ETF

金価格に連動するETF(上場投資信託)は、手軽に金投資を行える方法として人気があります。

NISA成長枠の利用が可能です。

金鉱株

金鉱山企業の株式に投資する方法もあります。

金価格の上昇は、これらの企業の収益性向上につながる可能性があります。

個別株投資になるので、NISA成長枠の利用が可能です。

金先物取引

ハイリスク・ハイリターンの投資方法として、金先物取引があります。

こちらはレバレッジを掛けた投機的な取引なので、お勧めしません。

金相場の今後の見通し

専門家の予想

多くのアナリストは、2024年後半も金価格の上昇基調が続くと予想しています。

ただし、上昇ペースは鈍化する可能性も指摘されています。

注目すべき経済指標

今後の金相場を見通す上で、米国のインフレ率や雇用統計、FRBの金融政策決定などが重要なポイントとなります。

潜在的なリスク要因

予想以上に早い利上げの再開や、地政学的リスクの急激な後退(ウクライナ、イスラエルの紛争の早期終結)などは、金価格の下落要因となる可能性があります。

金投資のメリットとデメリット

メリット

  • インフレヘッジ効果
  • ポートフォリオの分散効果(特に米国株式との分散効果が高い)
  • 有事の際の安全資産としての機能

デメリット

  • 配当や利子がない
  • 債券等に比べ価格変動リスクが大きい
  • ドル建てなので、自国通貨との間で為替リスクがある

まとめ

金相場は2024年に入り力強い上昇を続けており、投資家の注目を集めています。

米国の金融政策や地政学的リスク、インフレ動向などが、今後の相場を左右する重要な要因となるでしょう。

今はトランプ相場で米国株式が上昇を続けていますが、米国の実態経済は強くはなく、米国株が割高になってきている点は否めません。

また、中国経済の鈍化、地政学リスクの拡大懸念などリスク要因も高まっています。

このようなリスクに対する備えという意味では、金が最適ではないかと考えています。

特に、米国株式との分散効果という点は非常に優れていると思います。

是非、金への単独投資というよりは、株式との分散という意味で、金の保有をお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ金は安全資産とされるのか?
A: 金は長い歴史を持ち、国家の信用に依存しない価値を持つため、経済危機や政治的不安定の際に選好される傾向があります。

 

Q: 小額から金投資は始められるのか?
A: はい、金ETFや少額の金貨から始めることができます。投資信託の中にも、金関連の商品があります。

 

Q: 金の純度とは何ですか?どのように表示されますか?
A: 金の純度は、金の含有率を表します。一般的に、24金(純金)は99.99%の純度を持ちます。18金は75%、14金は58.5%の純度です。純度は、カラット(K)や千分率で表示されることもあります。

 

Q: 金価格は何によって決まるのですか?
A: 金価格は需要と供給のバランス、為替レート、地政学的要因、インフレ率、各国の金融政策など、様々な要因によって決定されます。

 

Q: 金ETFと現物金、どちらが初心者向けですか?
A: 一般的に、金ETFの方が初心者向けです。取引や保管が簡単で、少額から投資できるためです。NISAも利用できます。現物金は保管や税金がやや複雑になります。

 

Q: 金投資にはどのくらいの期間が適していますか?
A: 金は長期的な資産保全の手段として考えられることが多いです。短期的な価格変動に左右されないよう、5年以上の長期保有を検討するのが一般的です。

 

Q: 金の需要は主にどこから来ているのですか?
A: 金の需要は主に宝飾品産業、投資需要、中央銀行の購入、産業用途(電子機器など)から来ています。特に近年は、投資需要と中央銀行の購入が増加傾向にあります。

 

Q: 金鉱株と金ETFはどう違いますか?
A: 金鉱株は金鉱山企業の株式に投資するもので、企業のパフォーマンスに影響されます。一方、金ETFは金価格そのものに連動することを目指しています。金鉱株はより高いリターンの可能性がありますが、同時により高いリスクも伴います。

 

Q: 日本円で金を購入する場合、為替リスクはありますか?
A: 金は一般的に米ドル建てで取引されるため、日本円で購入する場合は為替変動の影響を受けます。ただし、金自体が為替変動に対するヘッジとしての役割も果たすことがあります。

 

Q: インフレ率が上昇すると、なぜ金価格も上昇する傾向にあるのですか?
A: インフレ時には通貨の価値が下がるため、実物資産である金の相対的価値が上昇します。また、インフレ対策として金を購入する投資家が増えることも、価格上昇の要因となります。