1. はじめに
日本株が急落し、同時に急激な円高が進行しています。
8月5日の下落幅は1987年10月20日の「ブラックマンデー」の翌日(3,836円安)を越えて、過去最大となりました。
連日の大幅な下落で、日経平均は7月11日に付けた史上最高値4万2,224円から1カ月も経たないうちに1万円近く下落しました。
5日の東京外国為替市場で一時1ドル=141円台後半を付け、7カ月ぶりの円高水準となりました。
7月3日に1ドル=161円台後半を付けてから、約20円円高となっています。
新NISAで投資を始めた方は、評価損が急激に膨らむ中で、このような急激な市場の変化に、恐怖と戸惑いを感じているのではないでしょうか。
2. 米国の景気後退懸念と日銀の利上げ
この急激な市場の変化の主な要因は、大まかに2つです。
米国の景気後退懸念が出て、米国の利下げ予想が強まったこと、日銀が市場の予想に反して0.25%への利上げに踏み切ったことです。
どちらかといえば、米国の景気後退懸念の方が大きいインパクトでした。
米国の金利が急激に下がることが予想されるため、一旦ポジションを調整する動きが強まり、これまで利益が出ていた日本株が大きく売られたようです。
為替は、円キャリトレード(円を借りて主にドル資産に投資する取引)が大きく膨らんでいたため、これが解消され、その反対取引のドル売り円買いが大量に発生しました。
これが急激な円高が進んだ要因です。
3. 今後の見通し
まず、円高ですが、相当な円売りポジション解消があったことから、急激な円高は一旦この辺りで落ち着くのではと思います。
更なる円高が進むのは、米国が政策金利をどれくらい急激に下げるか、そのペースによるので、ここが見えてくるまでは方向感のない揉み合いが続くでしょう。
次に、日本株ですが、短期的なポジションがある程度解消されたと思われるので、更なる急落リスクは小さくなったと思います。
NISAやiDecoの買いも淡々と日本株に入ってくるので、下値は固まっていくと思われます。もともと米国株ほどバブルではなかった日本株なので、一旦大きく調整したことで、投資しやすい水準になったのではないでしょうか。
私自身、一番気にしているのは米国株です。
米国の景気後退懸念が明確になりつつあるのに、バブル気味の米国株はそれほど下がっていません。
今後の政策金利の利下げとともに、米国株が大きく調整する局面も出てくるのではないかと懸念しています。
4. まとめ
このような急激な市場の変化は、短期的には不安を感じさせるものです。
しかし、長期的な投資の視点から見れば、これは一時的な調整局面と捉えることができるでしょう。
米国株の調整があるとの前提で、ポートフォリオは組んでいくべきかと思います。
株は日本株中心のポートフォリオ、株の下落に備えて、併せて金を保有することをお勧めします。
投資は長期が前提なので、急落したからといって、投資を止めてしまうのが一番のリスクです。
なぜかといえば、結果的に安い局面で投資するのを妨げてしまうからです。
継続は力なりです。
淡々と投資を続けましょう。