年末から8月の株価急落までの振り返り:投資をやめない選択

はじめに

昨日は日経平均株価が3.45%上昇の36,232円と8月5日の急落から15%程度戻してきた状況です。

今回、2023年7月末の日銀の利上げと追加利上げ検討の発言をきっかけに、世界的な株価急落が起きました。

特に日本市場への影響が大きく、円高も同時に進行したため、国内投資家にとっては株安と債券安のダブルパンチとなりました。

新NISA投資家にとっては初めての大幅下落を経験することとなり、多くの投資家が半年で積み上げた利益が一瞬で失われる恐怖を味わいました。

 

ここで一旦、年末から先月の7月11日の最高値を経て、8月5日の急落までを振り返ってみたいと思います。

以下は、主要インデックスファンドの1年間の推移になります。

 

主要ファンドのパフォーマンス推移

eMAXIS Slimシリーズの主要ファンドを例に、2023年12月末から7月11日(多くのファンドのピーク)までの上昇率を見ると:

  • 全世界株式(オール・カントリー):30.54%
  • 米国株式(S&P500):35.14%
  • 国内株式(日経平均株価):27.17%
  • 先進国債券ファンド:11.94%
  • バランス(8資産均等型):13.67%

これらの数字は、半年余りで2023年の1年間のリターンを上回る驚異的な上昇率を示しています。

 

株価急落の要因分析

  • 米国の対中国半導体規制強化
  • テスラのEV販売不振
  • アルファベットの広告収入低迷
  • エヌビディアの株価急落
  • 米国の失業率上昇(リセッション入り)と利下げ観測
  • 日銀の利上げと追加利上げ示唆

特に、米国の利下げ観測と日銀の追加利上げ示唆から、強烈な円安を産んでいた、円キャリートレードの取引が解消され、機関投資家が資産売却に迫られたことが市場全体に大きな影響を与えました。

資産クラス別の下落率比較

7月11日のピークから8月5日までの下落率:

  • 国内株式(日経平均株価):-25.48%
  • 全世界株式(オール・カントリー):-16.84%
  • 米国株式(S&P500):-17.44%
  • 先進国債券インデックス:-7.58%
  • バランス(8資産均等型):-9.75%

国内株式が最も大きな下落を記録し、半年で積み上げた利益がわずか数日で失われる結果となりました。

円高の影響と為替ヘッジの効果

8月5日には1ドル=142.61円まで急速に円高が進行し、海外債券で運用しているファンドも大きく下落しました。

この経験から、為替ヘッジの効果が再認識されました。

為替ヘッジありのファンドは、この局面で比較的堅調なパフォーマンスを示しました。

分散投資効果の再検証

国内株式、海外株式、海外債券の連動性が強く、分散効果は限定的でした。

国内債券が最も効果的な分散投資先でしたが、長期的なリターンは低い結果となっています。
金(ゴールド)も比較的良好な分散効果を示しました。

REITを含む8資産分散でも、今回の局面では十分な分散効果が得られませんでした。

今後の投資戦略への示唆

日銀により追加利上げのペースを和らげる発言もあり、急速な円高が止まり、相場は一旦は落ち着きを取り戻しています。

株価は急落で、過度に上昇した分を失ったとはいえ、中長期的には上昇傾向にあるため、過度に悲観的になる必要はないと言えます。

極端に言えば、インデックスファンドで銘柄を分散している限り、何が起こってもゼロになることはなく、世界経済は年々成長している分、時間が経てば、右肩上がりの推移になります。

ただ、全ての余裕資産を株式に投資していると、不安に襲われ、戻るまでの期間、耐えられなくなったりしますので、資産を分散させることが、精神衛生上も重要かと思います。

例えば、今回でも株式と分散効果がある金や国内債券を保有したり、株式の中でもバリュー株などを取り入れることは、分散効果が働くので、有効かと思います。

 

株式投資は、安く買って高く売るが基本ですので、7月の高値で購入して、今回の急落で売却した人が最も損をしているということになります。

初心者の方は、このような誤った投資行動をしがちですので、資産を分散させたりしながら急落局面でも忍耐強く売却しないで、投資を続けて下さい。

自信がない人は、積立投資で淡々と長期投資することをお勧めします。