若手vs.ベテラン:NISAで見る世代別投資行動の違いと成功のヒント

はじめに

最近の市場動向において、新NISA(少額投資非課税制度)を利用した個人投資家の日本株シフトが顕著に進んでいます。

特に2024年8月には、日本国内の個別株の買い付け額が前月比で30%増加したことが注目されています。

この現象の背景には、円高や日本株の相対的な割安感が強く影響していると考えられます。

今回は、NISA口座を通じた日本株シフトの理由について、詳しく考察します。

円高と株安の影響

8月、日本株の買いが進んだ大きな要因は円高と日本株の急落です。

円高が進行すると、海外株や海外株投信の円換算での資産価値が目減りするため、個人投資家はより安定的で割安な日本株に目を向ける傾向があります。

特に、米国の景気減速や日本銀行の金融政策(利上げ観測)の影響で日経平均株価が大きく下落し、短期的な押し目買いのチャンスとして捉えられました。

実際、8月には日経平均が過去最大の下げ幅を記録し、個人投資家にとって「買い時」と見なされる局面が到来しました。

日本株シフトの具体的な動き

日本経済新聞が報じたネット証券5社のデータによると、8月の国内個別株の買い付け額は2,835億円に達し、前月比で30%の増加を見せました。

特にトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループといった大型銘柄への買いが増加しており、トヨタは前月比2.2倍、三菱UFJは3倍となっています。

このような大型銘柄への投資は、比較的安全性を重視する個人投資家の動向を反映していると考えられます。

ベテラン投資家と若年層の違い

興味深いのは、投資家の年齢層による投資行動の違いです。

高齢層(53〜64歳)は、日本株への投資割合が高く、逆張りの姿勢で割安な日本株を積極的に買い増ししています。

一方、若年層(28〜36歳)は外国株投信への投資割合が高く、日本株には相対的に慎重な姿勢を見せています。

SNSなどでも「オルカン」や「S&P500」など米株中心に投資しようという流れがありましたので、投資初心者であればあるほど、海外株志向が強かったのではないかと思われます。

若年層は投資経験も浅く、円高や海外株価の急落に慣れていないので、今回の相場の急変に対して、逆張りというわけにはいかず、戸惑いが見られた可能性が高いです。

円高と海外株の資産価値低下

円高の進行は海外株の円ベースでの資産価値を減少させるため、海外株投資に対する魅力が一時的に低下しました。

8月の海外株の買い付け額は前月比34%減少し、投資信託も14%減少しています。

急激な円高と海外株の調整で、これまでの海外株高+円安の利益が吹っ飛び、一旦、積立をとめたり、損切りして退場した方も若年層を中心に多かったのではないかと推察されます。

まとめ

新NISA口座を利用した個人投資家の日本株シフトは、円高や日本株安という市場環境に強く影響されています。

特にベテラン投資家は、割安感のある局面を逃さずに投資を行い、逆張りの姿勢を取る傾向が強いです。

この層は高齢層でもあり、資金にも余裕があるので、今回NISAでの日本株買いの量を増やし、日本株の相場を支えたようです。

一方、海外株への依存度が高い若年層は、円高と相場の急変によりやや慎重な姿勢を見せているようです。

経験が浅く、今回の急落でビビったことと、そもそも買い余力がない層なので、逆張りというより、投資を手控える動きになったのではないかと思われます。

長期投資の中で、ドルコスト平均法で一定額毎月積立ている方も多いと思われますが、今回の8月のような急落場面でどのような行動を起こすかで、長期の投資リターンはかなり違ってきます。

最も効果的な行動は、急落場面で一時的に買いの量を増やすということです。

これは、投資初心者や資金余力が小さい人には、なかなかできないことかと思います。

よって、最低やっていただきたい行動は、投資をやめないということです。

急落場面で、一旦損切りして退場したり、毎月の積立投資を一旦凍結したりしないで、積立投資を続けて下さい。

これだけでも長期的にはかなりパフォーマンスが違ってきます。

今回の急落は良い経験だったと思いますので、次の急落時には正しい行動が取れるように準備していきましょう。