1. はじめに
「最強の資産」としての金が、今再び注目を集めています。
国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は9月26日、初めて1トロイオンス2700ドル台にのせた。
今年の上昇幅は600ドルを上回り年間上昇幅としては過去最大になりました。
本記事では、金の価格上昇の背景や今後の見通しについて解説し、なぜ金が最強の資産とされるのかを考えてみたいと思います。
2. 金の価格上昇の背景
米国の利下げと金の関係
2024年の金価格は、米国の利下げが大きな要因となっています。
金は金利が付かないため、基軸通貨であるドルの金利が下がると金が相対的に魅力的になります。
特に、米国の金利低下は投資家にとってドルよりも金を選ぶ動機となり、金の需要が高まります。
地政学リスクと投資家心理
ロシアのウクライナ侵攻や米中関係の悪化など、地政学リスクが長期化する中で、多くの投資家は安全資産として金を選んでいます。
これにより、金の価格は上昇を続けており、過去に例を見ない高値を更新しています。
米財政不安の影響
米国の財政不安も金価格を押し上げる要因の一つです。
米国の財政赤字の拡大や債務の増加に対する懸念が、ドルの価値低下を引き起こす可能性があるため、代替通貨として金が注目されています。
ムーディーズ・レーティングスは今月24日、政治分断などによる債務の拡大が続けば「Aaa(トリプルA相当の最上位格)との整合性がとれなくなる」と指摘しました。
ムーディーズは主要3社で唯一、米国の最上位格付けを維持していますが、米国が全社から最上位の格付けを失うことになりかねないとの懸念が増しています。
このような米国債に対する信頼が揺らぐ局面では、金が相対的に安全資産として買われる傾向があります。
3. 金が選ばれる理由
外貨準備としての金
中国やインドなどの新興国は、外貨準備としてのドル依存を減らし、金を増やしています。
これは、ドルの信頼性が低下するリスクに対する防御策であり、金が国際的にも信頼されている証拠です。
個人投資家の動向
経済の不透明感やインフレ懸念から、日米中の個人投資家も金投資を増やしています
特に、インフレが進む局面では、金はその価値を保持する資産として見なされ、需要が高まります。
機関投資家の影響
機関投資家も米国の利下げを背景に金を積極的に購入しています。
特に、長期的なポートフォリオの安定性を求める投資家にとって、金は重要な資産として位置づけられています。
4. 今後の金相場の見通し
米大統領選と財政政策の影響
2024年の米大統領選も、金相場に大きな影響を与える可能性があります。
選挙後には、どちらの候補が勝利しても、財政拡張的な政策が取られる可能性が高く、これがさらなるドル安と金の価格上昇を促す要因となるでしょう。
安全資産としての金
米国債に対する信頼が低下する局面では、金がますます安全資産として選ばれることが予想されます。
これにより、金の価格が引き続き上昇する可能性があります。
懸念点
一方で、短期的な金相場に対しては慎重な見方もあります。
特に、機関投資家が株式市場の動向次第で売り手に回る可能性がある点には注意が必要です。
現在は新興国の中央銀行がドル不安から外貨準備として金を積み増していますが、ドル不安が沈静化すればこの購入ペースは大きく鈍化するでしょう。
中央銀行の購入額は大きいため、金の需給に大きな影響を及ぼす可能性があります。
5. まとめ
金の価格は、米国の利下げや地政学リスク、そして財政不安といった多くの要因によって上昇を続けています。
安全資産としての金の価値が再認識される中で、今後もその需要は強く、さらなる上昇の余地があると言えるでしょう。
金は現在、「最強の資産」としての地位を確立しつつあります。
インフレヘッジや分散投資の観点から、今後も多くの投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。