はじめに
10月1日、イランがイスラエルに180発のミサイルを発射しました。
イランはイスラム組織ハマスのハニヤ前最高指導者やレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラ指導者のナスララ師らが殺害されたことへの報復だと主張しました。
これに対し、イスラエルも報復を示唆しており、本格的にイラン・イスラエル戦争に拡大する可能性が出てきて、中東情勢に緊張が高まっています。
この地政学的リスクの高まりは世界のマーケットに大きな影響を与えており、投資家の間で懸念が広がっています。
本記事では、この紛争がマーケットに与える影響を整理し、今後の資産運用の方向性について考察します。
マーケットへの影響
a) 原油価格の上昇:
中東は世界有数の原油産出地域であり、紛争拡大により原油の供給不安が高まっています。
これにより原油価格が上昇し、エネルギー関連企業の株価上昇や、インフレ圧力の増大につながる可能性があります。
チャートを見てみましょう。
原油は少し上昇しています。
b) 株式市場の変動:
地政学的リスクの高まりにより、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株式市場全体が下落する可能性があります。
米国株価は現在それほど大きく反応はしていません。
c) 安全資産への資金シフト:
投資家のリスク回避姿勢により、金や国債などの安全資産への資金シフトが起こる可能性があります。
これにより、金価格の上昇や国債利回りの低下が予想されます。
金価格チャートを見ると、一時下落していた価格がニュースに反応し、再び上昇しています。
d) 為替市場の変動:
地政学的リスクの高まりにより、ドルや円などの安全通貨が買われる傾向にあります。一方で、リスクの高い新興国通貨は売られる可能性があります。
今後の資産運用の方向性
a) 分散投資の重要性
地政学的リスクの高まりにより、特定の地域や資産クラスに集中投資することのリスクが顕在化しています。
地域や資産クラスを分散させることで、リスクを軽減することが重要です。
b) 安全資産の組み入れ:
ポートフォリオの一部に金や国債などの安全資産を組み入れることで、リスクヘッジを図ることができます。
特に、金、米国債、日本国債などは、NISAでも購入可能な商品があるので、検討する価値があります。
C) インフレヘッジ:
原油価格の上昇によるインフレ圧力の高まりに備え、インフレ連動債、金、不動産などのインフレヘッジ資産の組み入れを検討することも一案です。
まとめ
今回のミサイル攻撃で、イランとイスラエルの紛争は本格的に戦争に拡大する懸念が高まっています。
ロシア、ウクライナ戦争の場合、日本への影響としては、ロシアから輸入していた原油(日本の輸入の30%程度)が、輸入ゼロになったことです。
この代替を中東の原油で補っているため、今の原油輸入はほぼ中東に依存しています。
今回の戦争拡大が中東の海上封鎖などに発展すると、この原油輸入への大打撃となります。
原油価格上昇、株価下落など、資産運用でも痛手を受けそうですが、そもそも、生活必需品の価格などが大幅に上昇して日常生活に打撃を与えかねません。
中東戦争の拡大はこれほどの日本に影響が出ることだと再認識し、輸入物価上昇に対する対策をとりましょう。
このブログでは何度も書いていますが、まずは金への分散投資をお勧めします。