世界主要株式市場のPER分析:割高か割安か?

はじめに

今日は、世界の主要株式市場のPER(株価収益率)推移を分析し、どの市場が割高で、どの市場が割安なのかを考察してみましょう。2023年9月から2024年9月までのデータを基に、興味深い傾向が見えてきました。

投信積立契約件数ランキング

以下の表は、ネット証券の9月の投信積立契約件数のランキングです。

簡単に状況をまとめると以下の通りです。

(出所:ウエルスアドバイザー)

  1. ランキングの概要:

    • 2024年9月の投信積立契約件数ランキングのトップ2は前月と変わらず。

    • 第1位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

    • 第2位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

  2. 注目すべき変動:

    • iTrust インド株式が3位に上昇。

    • 新設の楽天・高配当株式・米国ファンドが4位に食い込む。

    • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が3位から4位に後退。

  3. eMAXIS Slimブランドの強さ:

    • トップ10に4つのファンドがランクイン。

    • 代表的なインデックスファンドでブランドが確立。

  4. 他ブランドの状況:

    • 一般的なインデックスファンドは順位を落とす傾向。

    • 特徴のあるファンド(インド株や高配当株)が台頭。

  5. 信託報酬の傾向:

    • 主要インデックスファンドの信託報酬は年0.1%を下回る。

    • 特徴あるファンドはやや高めの信託報酬(例:インド株0.47%、高配当株0.19%)。

  6. 今後の方向性:

    • 運用会社は低コストと魅力的なリターンのバランスを模索。

    • インド株や高配当株に続く新たな人気分野の開拓が注目される。

世界主要株式市場のPER推移 

では、ここで世界の主要な株式市場が割高か割安かをPERの推移から確認してみましょう。(2023年9月から2024年9月までのデータ)

(出所:世界主要株式市場の株価収益率(PER) | 銀行.info - 間違いだらけの銀行選び - のデータをもとに筆者作成)

 

1. 割高と思われる市場

  • ナスダック(米国):PERが常に30前後で推移しており、全市場中最も高い水準を維持しています。これは主にテクノロジー企業への高い成長期待を反映していますが、バブル的な要素も否定できません。

  • SENSEX(インド):ナスダックに次ぐ高PERを示しており、24〜29の範囲で上昇傾向にあります。新興国市場への期待が高いことを示していますが、やや過熱気味かもしれません。

2. 中程度の評価の市場

  • NYダウ(米国):25〜27のレンジで安定的に推移しています。米国の総合的な経済力を反映した、比較的バランスの取れた評価と言えるでしょう。

  • 日経225(日本):19〜23の範囲で変動しており、NYダウよりやや低めです。日本経済の安定性と緩やかな成長期待を反映していると考えられます。

  • DAX(ドイツ):14〜20の間で上昇傾向にあります。欧州経済の中核としての地位を反映していますが、その上昇傾向には注意が必要かもしれません。

3. 割安と思われる市場

  • FT100(イギリス):10〜20の幅広い範囲で変動していますが、他の先進国市場と比べると低めです。

  • ハンセン指数(香港):10〜12の狭い範囲で推移しており、主要市場の中で最も低いPERを示しています。中国本土との政治的関係や経済的な不確実性が影響しているかもしれません。

  • 上海総合指数(中国)

    11〜13.5の範囲で安定的に推移しています。中国経済の成長率を考えると、やや控えめな評価に見えます。米国との対立や政府の規制、地政学的リスクが影響している可能性があります。

まとめ

PER分析は投資判断の一つの指標に過ぎません。

しかし、この分析から、現在のグローバル市場では米国とインド市場が比較的割高で、アジア市場(特に中国、香港)が割安に見える傾向があることが分かりました。

多くの市場で2024年に入ってからPERが上昇傾向にあります。

これはグローバルな経済回復への期待を示唆している可能性がありますが、同時に、バブル的な様相を呈しているのかもしれません。

米国株、インド株市場は期待先行で割高になっています。

今後、企業の業績が伴ってこないと、下落幅も大きくなるので、注意が必要かと思います。