なぜMMFから株式へ資金が移動しないのか?米国投資環境の背景を考察

はじめに

米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)の残高が過去最高を更新し続けています。

2024年11月時点でその残高は約6兆6,000億ドル(約1,000兆円)を超え、投資家の注目を集めています。

FRB(米連邦準備理事会)が利下げを開始したにもかかわらず、なぜ投資家は株式などリスク資産に移らずMMFにとどまっているのでしょうか?

 

MMFの特徴と現在の状況

MMFは短期国債や政府債務証券など、安全性と流動性の高い資産で運用される投資信託の一種です。

特に、資金を次の投資機会まで保管しておく「待機資金」として多くの投資家に利用されています。  

2022年以降、FRBの急速な利上げにより銀行預金からMMFに多額の資金が流れ込みました。

主要MMFの利回りは一時5%を超えていましたが、2024年に利下げが進んだ現在でも、MMFの人気は衰えていません。  

MMFから株式へ資金が移らない理由

1. リスク回避志向の強まり 

2023年春に発生した米地銀の連鎖破綻以降、投資家はリスク回避を優先しています。

MMFは安全性が高く、柔軟に現金化できるため、不安定な市場環境下で「保険」として活用されています。  

日本では銀行破綻時に1銀行あたり1,000万円まで保護されるペイオフ制度がありますが、米国にも同様の制度があり、25万ドル(約3,800万円)まで保護されます。

それでも銀行の破綻懸念を警戒して、銀行預金からMMFに移す人が多いということです。

2. 次期トランプ政権の政策とインフレ懸念 

トランプ氏の再選に伴う関税引き上げや移民制限などの政策は、インフレを再燃させる可能性があります。

このため、FRBが利下げペースを鈍化させるとの見方が広がり、MMFの利回りが完全には低下しないとの期待が続いています。  

3. 金利環境の不透明さ

FRBが慎重な利下げ姿勢を示しており、金利の行方が不透明です。

この不確実性が、投資家を安全資産であるMMFに留める一因となっています。  

今後の市場動向と注目ポイント

MMFに保管されている6兆6000億ドルの資金は、潜在的には株式や暗号資産、金といったリスク資産に移動する可能性があります。

しかし、現在の経済環境や政策動向によって、そのタイミングは見極めが必要です。

  • FRBの金融政策:利下げが進むか、再度の利上げがあるのか?  
  • インフレ率の動向:特に次期政権の影響に注目が集まります。  
  • 市場参加者の心理:安全資産を優先する流れがいつまで続くのか?  

まとめ

現時点では、MMFは利回りが低下しているものの、安全性と流動性の高さから有効な資金置き場となっています。

米大統領選でトランプ大統領が勝利し、米株式市場は最高値を更新しており、米株に資金が大きく移動しそうなものですが、今はそこまでの動きになっていないようです。

4年ぶりの政権交代で、経済政策、金融政策の先が読めずリスクを感じていることから動きが鈍くなっているのかもしれません。

または、米株式市場も最高値を更新しており、割高に感じているのかもしれません。

米国の投資家を見習って、休むも相場ですので、米株投資は少し様子見で良いのかもしれません。

積立は別ですが。

ちなみに、外貨建てMMFや円建てMMFはNISA対象ではありませんので、注意して下さい。