バフェット氏、22年ぶり「債券投資家」に転身した背景とは?米国株市場への示唆

1. バフェット氏の債券シフト:その背景と意図

ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが、22年ぶりに株式より債券に重きを置いた投資に移行しました。

このシフトの背景には、株式市場の割高感と、リスクを抑えた運用方針が考えられます。

特に、米財務省短期証券(Tビル)の購入は、安全かつ利回りの高い選択肢として評価されています。  

2024年9月時点で、同社の債券保有額は3,040億ドルに達し、株式投資額2,176億ドルを上回りました。

この動きは、米国株市場に対する警戒感の表れと考えられています。  

2. 割高な米国株市場:ドットコムバブルとの類似性

今回の動きは2000年代初頭のドットコムバブルを彷彿とさせます。

当時もバフェット氏は株式市場の割高感を警戒し、債券への投資にシフトしていました。  
現在、S&P500の予想益回りと米長期金利の差(※イールドスプレッド)はわずか0.13%と、株価の割高感を示しています。

このような市場環境では、無リスクで高い利回りを得られる債券が魅力的に映るのも自然なことです。

(※)イールドスプレッドとは?
イールドスプレッドとは、株式益回りと債券利回りの差のことを指します。
具体的には次の式で表されます。

  • イールドスプレッド = 株式益回り - 債券利回り

株式益回り:株価に対する企業の収益力を示す指標(株価収益率の逆数)。
債券利回り:債券投資から得られる収益率。
イールドスプレッドがプラスの場合、株式が債券よりも魅力的とされ、逆にマイナスになると債券の方が有利だと考えられる傾向があります。

(出所:2024年11月23日付日経新聞電子版)

3. 投資哲学としての「良い球だけを打つ」

バフェット氏の投資哲学は、「良い球が来た時だけバットを振る」という言葉に象徴されます。

つまり、確信が持てる投資先が見つからない限り、現金や流動性の高い資産で待機する姿勢を取るのです。

今回の債券シフトは、投資機会の欠如を反映したものでしょう。  

4. 個人投資家への示唆:これからの投資戦略

バフェット氏の行動から、個人投資家も以下の点を学べます。  

  • 割高な株式市場が続く中では、慎重な姿勢を取り、安全資産(短期債)で運用する選択肢も検討する。
  • 長期的な視点を持ち、確信の持てる投資機会を待つ。  

ウォーレン・バフェット氏が22年ぶりに「債券投資家」に転じた背景には、株式市場の割高感とリスクを抑えた運用方針が大きく影響しています。

債券のような安全資産でもリスクの高い株式と同様のリターンが見込めるのなら、合理的にはそうすべきということを教えてくれます。

この動きは、現在の米国株市場における投資環境を考える上で重要な示唆を与えています。

先日もブログで以下の記事を書きましたが、バフェットの行動を見ても株式へ資金が移動しないのもうなづけるのではないでしょうか。

個人投資家もこれらの投資家の動きを参考に、自身のポートフォリオを見直してみてはいかがでしょうか。

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