ドル集中のリスク:新興国通貨に迫る危機

 

ドル円は一時157円と5ヶ月ぶりの安値を付けています。

いったい何があったのでしょうか。

 

簡単にいうと、日米の金利の方向性が変わったということです。

米国のFRBは9月から利下げに転換しており、どこまで下げるのかというのが注目されてましたが、利下げが想定していたより続かないとの見方に変わりました。

一方で、日銀も当初は12月更なる利上げをしないことが明確となり、利上げペースがゆるやかになるというのが確認されました。

これを受けて、日米の金利差が縮まらないとの見方から金利の高いドルに資金が流れてドル高円安になったということです。

 

下記はドルインデックスと呼ばれるチャートで、ドルの価値を主要通貨との相対価格で測ったものです。

単純に、上昇はドルの価値が上がること、下落はドルの価値が下がることを表しています。

 

2024年7−9月の米国FRBの利下げの方向性を受けて、ドルのインデックスは100を下回るところまで下がりましたが、10月以降はどうでしょう。

大きくドルの価値上昇の方向に動いています。

市場はトランプ大統領の政策はドル高政策であると見ているのです。

グローバル経済というより、米国国内経済が最も重要だという考えになると、ドル高政策で資金を米国に集中させる方向性になります。

 

米国経済は潤沢なマネーのもとで、経済成長は維持されるのでしょうが、通貨の弱い国からすると、たまったものではありません。

ドル不足に陥るからです。

 

実際に、対ドルでブラジルレアルが急落し、ドル売りレアル買いの為替介入でレアルを支えるという羽目になっています。

トルコや韓国など新興国で同様の現象が起こっています。

当然金利を上げられない日本の円も下落することになります。

 

この米国のドル高政策により、ドルへの資金集中が始まり、世界がドル不足に陥り、最悪は通貨危機が起きるということでしょう。

 

このリスクを考えると、特に新興国通貨はこれから要注意かと思います。