1. インド株の現状
インドのSENSEX指数は2024年9月のピークから約15%下落しています。
短期間での大幅な調整となりましたが、この背景には複数の要因が影響しています。
参考:インド株式(SENSEX指数)の5年チャート
(出所:google)
2. インド株の下落要因
インフレ率の上昇
2024年半ば以降、インフレ率が急上昇し、インド国内の景気減速と企業業績の鈍化懸念が広がりました(現在インフレ率は鈍化しています)。
特に7月から9月にかけての企業業績が低迷し、投資家心理が悪化しました。
インド経済は成長著しい新興国ですが、その一方でインフレとの戦いが続いています。内需が強い経済特性を持つため、物価上昇の影響を受けやすいことも特徴です。
中国株市場への資金移動
2024年9月末から10月にかけて、中国政府が景気下支え策を相次いで発表しました。
これにより中国経済の回復期待が高まり、海外投資家がインド株から資金を引き揚げ、中国株に投資する動きが強まりました。
2024年10月に以下のような記事を書いています。
ここでは、インド株がPER(株価収益率)から見て割高であること、中国株は割安であることをお示ししました。
このあと、インドの景気鈍化懸念が表面化し、中国の景気回復期待も相まってインド株売り、中国株買いの動きが出たのかと思います。
米国の関税政策
インドの貿易は対米黒字が大きく、トランプ政権による関税政策の影響を受けやすい状況にあります。
実際に米国からの圧力が強まり、市場心理を冷やしたことでインド株の下落要因となりました。
3. 現在の市場環境
インフレ率の鈍化とGDP成長率
インフレ率は一旦鈍化し、2024年10月-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.2%となり、2四半期ぶりに6%を超える伸びを記録しました。
このため、景気減速懸念はやや緩和されています。
株価のバリュエーション
インド株のPER(株価収益率)は、2024年9月の29.1倍から23.5倍まで調整されました。依然としてやや割高ではありますが、過熱感は和らぎつつあります。
(出所:世界主要株式市場の株価収益率(PER) | 銀行.info - 間違いだらけの銀行選び -)
米国の関税政策
インドの貿易は対米で黒字なので、トランプ政権の標的にされています。
実際に圧力が日増しに強くなっています。この米国の関税政策に関する不透明感が市場心理に影響を与え、インド株式市場の下落要因となっています。
今後も米国のトランプの政策に振り回される懸念はあります。
4. まとめと投資戦略
インド株の下落要因であったインフレ率と資金流出の問題には改善傾向が見られます。しかし、米国の関税政策やインドルピーの下落による通貨安インフレのリスクが依然として残っています。
投資戦略
既にインド株を保有している方や積立している方は、短期的な下落に動揺せずに投資を継続すべきです。
投資は退場したら意味がありません。
インドは長期的には右肩上がりの経済成長をする国です。
経済成長に伴い株価も右肩上がりになります。
長い目で投資をしましょう。
新規投資を検討している人は、依然としてやや割高な水準ではありますが、長期投資を前提になら投資し始めても良いかと思います。
投資するにしても新興国市場のリスクを考慮し、ポートフォリオの中でインド株の比率は最大でも10%程度に抑えるのが望ましいと思います。