BRICS拡大の狙い:世界経済の地殻変動と投資戦略

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はじめに

2024年、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は大きな転換点を迎えています。

1月から新たにエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)の4カ国が加盟し、9カ国体制となりました。

さらに「パートナー国」制度の創設により、13カ国が新たに加わる予定です。

この拡大は単なる加盟国の増加ではなく、世界経済の構造変化を示唆するものとして注目されています。

BRICSの現状と拡大

現在のBRICSは以下の構成となっています:

既存メンバー:ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
新規加盟国:エジプト、エチオピア、イラン、UAE
パートナー国候補:トルコ、インドネシア、アルジェリア、ベラルーシ、キューバ、ボリビア、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、タイ、ベトナム、ナイジェリア、ウガンダの13カ国

拡大の背景にある狙い

米欧への対抗軸形成

BRICSの拡大は、単なる経済連携の強化だけでなく、米欧主導の国際秩序に対する新たな対抗軸の形成を目指しています。

特に中国とロシアは、「多極化」を掲げ、西側諸国への依存度を下げることを目指しています。

新たな金融システムの構築

最も注目すべき点は、BRICSによる新たな金融決済システムの構築です。

これは米ドルを基軸とする現在の国際金融システムからの脱却を目指すものです。

特にロシアにとっては、西側の金融制裁を回避する手段としても重要です。

資源・エネルギー戦略

新規加盟国にはイランやUAEといった主要な産油国が含まれています。

これにより、BRICSは世界のエネルギー市場においても大きな影響力を持つことになります。

OPECの盟主であり、世界最大の産油国サウジアラビアもBRICSに加盟するのではないかと取り立たされています。加盟は未発表。

世界経済への影響

BRICSの拡大は、以下のような世界経済への影響が予想されます:

  • ドル基軸体制の相対的な弱体化
  • 国際貿易決済の多様化
  • 資源価格への影響力増大
  • 新興国経済圏の発言力強化

投資への示唆

このような世界経済の構造変化を踏まえた投資戦略として、以下が考えられます。

  • 通貨分散の重要性:ドル一極集中のリスクを避けるため、複数通貨での資産保有を検討
  • 新興国市場への投資機会:BRICSおよびパートナー国の株式市場への投資検討
  • 金投資の再評価:国際通貨体制の変化に備えたヘッジとしての金の保有

まとめ

BRICSの拡大は、世界経済の多極化を加速させる重要な転換点となっています。

投資家にとっては、この変化をリスクとしてだけでなく、新たな投資機会として捉えることが重要です。特に、通貨の分散化や新興国市場への投資機会に注目する必要があるでしょう。

現在の世界の株式市場の時価総額の約半分が米国株式市場でした。

世界の成長に投資するには、S&P500など米国株だけの投資で問題はありませんでした。

長期的な視点で見れば、世界経済の重心が徐々に新興国側にシフトしていく可能性が高く、株式の投資ポートフォリオもこれに応じた見直しが必要となってくるでしょう。

具体的には、オールカントリーをベースに、新興国株ファンドを少し加えていくというポートフォリオも考えられますので、参考にしてください。