はじめに
週末ドル円は下記グラフの通り、一時149円近くまで円安が急激に進みました。
何が起こったのでしょうか?
(出所:外為ドットコム)
円安の主な要因
1. 石破総理大臣の発言
石破総理大臣が日銀の植田総裁との会談後、「個人的には、現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べました。
この発言により、以下の影響がありました:
- 日銀が追加利上げを進めにくくなるという観測が広がる
- 利上げの時期が遅れるのではないかという見方が強まる
- 投資家が円売りドル買いの動きを強める
2. アメリカの雇用データ
2日に発表されたアメリカの雇用に関する民間調査が市場予想を上回りました。
この結果は、アメリカ経済の底堅さを示唆し、ドル買いを促進する要因となりました。
3. 日米金利差の拡大懸念
石破総理大臣の発言と米雇用データの好調さにより、日米の金利差がさらに拡大するのではないかという懸念が強まりました。
日米の金利差は為替レートの主要な決定要因の一つであり、金利差の拡大は円安ドル高につながります。
専門家の見解
市場関係者は、「当初、石破総理大臣のもとで日銀は追加の利上げを進めやすくなるという見方から円を買う動きにつながっていたが、今回の発言を受けて投資家は一転して円を売る動きを強めている」と分析しています。
まとめ
米国は予想したほど利下げがなくなった、日本は予想したほど利上げがなくなったとの見方から、日米の金利差が縮小する(円高に動く)と思っていたものが、金利差縮小の可能性が小さくなり、急激に円安に動きました。
今回は日本の政治的な理由の方が大きいので、石破さんがスタンスを変えない限りは、円高に戻る可能性は低いでしょう。
今のこの150円近辺の水準が心地よいのではないでしょうか。
しかし、雇用統計の見た目の数字が良かったのですが、よく見ると、政府部門が大幅に雇用を増やしただけで、民間部門は雇用が大きく減少しています。
米国の雇用の実態は見た目以上に悪いのではないかと思います。
米国の景気悪化のリスクは織り込んでおいた方が良さそうです。