はじめに:株と債券の関係の変化
投資の世界で、株式と債券は2大資産クラスとして知られています。
最近、これら2つの資産の値動きの関係に変化が見られ、投資家の注目を集めています。
この記事では、その変化と投資への影響について、解説したいと思います。
株と債券の値動きの基本
まず、株と債券の基本的な特徴を押さえておきましょう。
株式:企業の所有権の一部を表し、企業業績や経済状況によって価格が変動します。
債券:政府や企業からの借金証書で、一定の利子が付きます。金利の変動に影響されます。
通常、経済が好調な時は株価が上がり、不調な時は下がる傾向があります。
一方、債券は金利が下がると価格が上がり、金利が上がると価格が下がります。金利の影響を受けやすい資産です。
株式と債券は、どちらも代表的な投資先ですが、一般的に値動きが逆になることが多いです。
つまり、株価が下がると債券の価格が上がり、株価が上がると債券の価格が下がるという関係です。
これにより、株式と債券を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを分散する効果が得られます。
最近の市場動向:逆相関の傾向
2022〜2023年のインフレ期には、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを行い、金利上昇に伴い債券価格が下落しました。同時に株価も下がるという「株安・債券安」の局面が見られました。
このような動きは、インフレや金利政策の影響を強く受けています。
2023年7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、市場の注目はインフレから景気後退へと移りました。
この結果、債券利回りは低下し、債券価格が上昇。一方で、株価は企業の業績悪化を懸念して下がる傾向が強まっています。
こうした動きにより、「株安・債券高」いわゆる「逆相関」の局面が多く見られるようになりました。
なぜ逆相関が起きているのか
この変化の背景には、市場の注目点の移行があります。
以前:インフレ(物価上昇)への対応が主な関心事
現在:景気減速への懸念が強まっている
景気減速が懸念されると、投資家は安全な資産である債券を買う傾向があります。
一方で、企業業績悪化を警戒して株を売る動きが出るため、逆相関が生じやすくなります。
投資家にとっての意味:分散効果の向上
株と債券が逆の動きをする傾向が強まると、投資家にとっては良いニュースです。
なぜなら、ポートフォリオ(投資の組み合わせ)の分散効果が高まるからです。
例えば、株価が下がっても債券価格が上がることで損失を和らげることができます。
これにより、投資リスクを低減しつつ、リターンを得る可能性が高まります。
まとめ
世界的な景気後退により、株式が下落してその資金が安全な債券へと移動する傾向は今後も続く可能性が高いのではないかと見ています。
この株式売り、債券買いのポートフォリオの組み替えの動きにより、株式と債券の価格は逆相関の動きが続くでしょう。
そのため、株式と債券をバランス良く保有する「バランスファンド」の魅力が高まってきます。
これまで株式と債券の分散効果が薄れてきましたが、これからは分散効果が色濃く表れるからです。
これまで株式が上がり続けてきたため、分散投資は蔑ろにされてきた感があります。
結局、株式だけ持ってれば途中の変動はあれど、長期で最もリターンが高くなるという考えです。
例えばリーマンショック時に株価が下落して底を打ち、元に戻るまで5年半を要しています。
5年半損失に耐えれますか?ということです。かなりメンタルはやられます。
もし、このような長期間は耐えられないと思うのであれば、株式一辺倒の資産配分はやめて、債券との分散投資を考えても良いのではないかと思います。
株式と債券も逆相関の関係になってきていますから、資産分散は有効かと思いますので、改めて資産組み替えを検討してみてはいかがかでしょうか。