1. FRBの0.5%利下げ決定の背景
2024年9月18日、米連邦準備理事会(FRB)は、予想を上回る0.5%の大幅な利下げを決定しました。
この利下げは、市場が予想していた0.25%の幅を大きく超えるものであり、4年半ぶりとなる政策金利の引き下げです。
背景には、米国経済のインフレ沈静化が進む一方で、雇用状況が悪化するリスクが高まっていることがあります。
FRBは金融引き締めの緩和を通じて、経済の安定を目指しています。
今回の決定は、市場やエコノミストの予測を裏切るものであり、FRBが景気後退のリスクを強く認識していることを示唆しています。
年内にはさらに0.5%の利下げが予定されており、これによって景気の軟着陸(ソフトランディング)が期待されていますが、企業業績の悪化により雇用市場が予想より悪化する可能性があり、個人的にはそう上手くソフトランディングは出来ないのではないかと思っています。
2. 市場予想との乖離と反応
今回の利下げは、多くのエコノミストが予想していた0.25%の引き下げを上回り、投資家や市場に大きな衝撃を与えました。
金利先物市場では、利下げのタイミングや幅について様々な見方がありましたが、FRBの0.5%の決定は市場参加者の予想を超えるものでした。
ゴールドマン・サックスをはじめとする大手金融機関は、0.25%の利下げを予想しており、予想外の決定によって株式市場や為替市場でのボラティリティが一時的に高まりました。
しかし、雇用悪化リスクを抑えるためのFRBの強い意思表示として、多くの市場参加者は今回の決定を好意的に受け止め、特に株式市場では短期的な上昇が見られました。
ドル円については、ドル安傾向が強まるとの見方から一時的に1円50銭ほど円高に進みました。
3. 今後の金融政策の見通し
FOMCの経済見通しによれば、2024年内に追加で0.5%の利下げが行われる可能性が高いです。
参加者の中でも多くが年末までにさらなる利下げを予測しており、FF金利の誘導目標はさらに引き下げられる見込みです。
また、2025年にはインフレ率が目標の2%に達し、利下げのペースが緩やかになると見られています。
景気の軟着陸が予想されており、失業率の上昇は一定の範囲に留まるとの市場の見立てです。
4. 各資産クラスへの影響と投資戦略
株式市場:
FRBの利下げ決定は、株式市場にとっては一時的な追い風となるでしょう。
低金利環境が続くことで企業の借入コストが下がり、企業業績が改善する可能性があります。
また、投資家はリスク資産に対してより積極的な姿勢を取る傾向にあるため、株価は短期的に上昇が期待されます。
ただし、雇用や経済成長に関する不安が再燃すると思われるので、上昇余地は限られると思われます。
債券市場:
利回りの低下が予想され、特に長期債が恩恵を受ける可能性があります。
大幅な利下げをするということは米国経済はリセッションに入っていることから、米国債へのシフトが進むでしょう。
為替市場:
FRBの大幅な利下げは、短期的には米ドルの弱含みを引き起こし、他の主要通貨に対してドル安が進む可能性が高いです。
また、新興国通貨や高金利通貨への資金流入を促し、キャリートレードの活発化を招くでしょう。
ただ、世界的な景気後退局面に入った場合や紛争などの地政学リスクが更に高まる場合は、より安全な基軸通貨ドルに資金が回帰してドル高になるシナリオも考えられます。
不動産:
低金利環境の継続は不動産市場にポジティブに作用するでしょう。
今回の利下げは、REIT市場に対して概ねポジティブな影響を与えると考えられます。
借入コストの低下、不動産価値の上昇、そして債券に代わる高利回り投資先としてのREITの魅力が増すことで、投資家の注目が集まるでしょう。
金:
ドル安と低金利環境は金価格にポジティブに作用する可能性が高いです。
5. 結論:投資家が注目すべきポイント
積極的な金融緩和政策が続く中、リスク資産への選好が一時的に高まる可能性があります。
ただし、景気後退リスクも同時に高まっているため、このリスク資産への選好が持続することは難しいと考えています。
ソフトランディングでは終わらないということです。
よって、ポートフォリオの分散とリスク管理が重要となります。
株式などリスク資産に偏ったポートフォリオを債券や金に分散して、バランスの取れたポートフォリオへ組み替えることをお勧めします。
今は守りでじっと耐える時だと思います。