はじめに:基準地価の32年ぶり上昇
2024年の基準地価調査で、地方圏の全用途平均が32年ぶりにプラスに転じたことが明らかになりました。
この上昇傾向は、単に大都市圏だけでなく、地方にも広がっています。
投資家にとって、この変化は重要な市場シグナルとなる可能性があります。
地価上昇の要因分析
地価上昇の主な要因として、以下が挙げられます。
- 訪日外国人観光客の増加による観光需要の高まり
- 半導体工場など大規模産業施設の新設
- 地方都市での再開発プロジェクトの進行
これらの要因が相互に作用し、不動産市場全体を押し上げる効果をもたらしています。
投資機会の観点から見る地域別の動向
a) 観光地周辺:
白馬村やニセコ町など、人気観光地の周辺地域で大きな地価上昇が見られます。
これらの地域では、宿泊施設だけでなく、従業員向け住宅需要も高まっており、投資機会が生まれています。
b) 半導体関連:
TSMCの進出で注目を集める熊本県菊陽町や大津町では、工場労働者の流入に伴い、住宅需要や商業施設需要が急増しています。
地価上昇率は、大津町でプラス19.4%と全国地区町村で1位。 菊陽町で16.9%と全国地区町村で6位となっています。
このような産業集積地域は、長期的な成長が期待できる投資先となる可能性があります。
c) 地方中核都市:
地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)では、再開発プロジェクトが地価を押し上げています。
これらの都市は、地方創生の中心として今後も発展が期待されます。
不動産投資のリスクと注意点
地価上昇は投資機会を示唆しますが、以下のリスクにも注意が必要です:
- 金利の急激な上昇
- 人口減少による長期的な需要低下
- インフラ整備の遅れ(例:渋滞問題)
- 観光需要の変動性
- 地域経済の特定産業への依存
REITを活用した不動産投資の選択肢
直接不動産を購入するリスクを避けたい投資家にとって、REITは魅力的な選択肢となります。
特に、地方や観光地に注目したREITは、今回の地価上昇トレンドを捉える良い手段となるでしょう。
NISAの枠内でREITに投資することで、税制優遇も受けられます。
まとめ:長期的視点での不動産投資戦略
今回の基準地価上昇は、日本の不動産市場に新たな投資機会が生まれていることを示唆しています。
不動産投資は、直接不動産の物件を購入して家賃収入やキャピタルゲインを得る方法とREITや不動産STなど金融商品に投資する方法があります。
投資初心者が最も避けたい投資は、直接不動産を購入する方法です。
自己資金が少なくても借入をして大きく投資をできる点は魅力なのですが、流動性がない点、諸経費が色々と掛かる点、手続や管理が面倒な点は難点だと思います。
特に区分所有のマンションなどへの投資は控えた方が無難でしょう。
良い物件は少なく、初心者には回ってきません。
業者の口車に騙されないようにした方が良いです。
次に避けるべきは、不動産STなどの金融商品です。
最近流行りになってきていますが、取扱業者によっては、過大なリスクを取る割にはリターンが小さい場合(手数料を多く抜かれている)が多いのとやはり流動性がないのが難点です。
業者によっては良い物件も取り扱っているので、一概にはだめとは言い切れないですが、物件を見定める目は必要かと思います。
また、NISAでの利用ができないので、税制優遇はありません。
結局、不動産に投資するならREITになるでしょう。
理由は、流動性がある、NISAを利用できる、上場していて安心ができる点です。
投資初心者の場合、REITへの個別銘柄への投資もなかなか見極めが難しいと思いますので、複数銘柄のREITに投資する投資信託を選択するのが良いと思います。
投資初心者の方は、まずは、東証REIT指数に連動するインデックス商品でも購入して、値動きを確認してみてはいかがかと思います。