GPIFのリバランス戦略:市場変動に対する年金基金の対応

はじめに

最近の日経平均株価の大幅な変動を受け、年金基金によるリバランス買いが注目を集めています。

特に、日本最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の動向が市場に大きな影響を与える可能性があります。

GPIFは、2024年6月末現在254兆7,027億円の運用資産額を保有しており、世界最大の年金基金です。

2021年度からの運用利回りは年率4.47%と安定運用しています。

今回は、GPIFのリバランス戦略について詳しく見ていきましょう。

リバランスとは

リバランスとは、市場の変動によって崩れた資産配分を、あらかじめ定めた比率に戻す作業のことです。

具体的には:

株価が下落した場合、株式の比率が下がるため、株式を買い増す
債券価格が上昇した場合、債券の比率が上がるため、債券を売却する

このような調整を行うことで、長期的なリスク管理と安定したリターンの確保を目指します。

GPIFの資産配分

GPIFは以下の資産配分で運用を行っています:

国内株式:25%
国内債券:25%
外国株式:25%
外国債券:25%

この配分は、長期的な運用方針に基づいて決定されています。

ただし、実際の運用では各資産に±6〜8%程度の乖離許容幅が設けられており、市場の変動などに応じて柔軟に対応できるようになっています

リバランスの重要性

リスク管理:市場変動によるポートフォリオのリスク増大を抑制
収益機会の確保:「安く買って高く売る」の原則を自動的に実行
長期的な運用方針の維持:感情に左右されない規律ある投資の実現

最近の市場動向とGPIFの対応

日経平均株価が大きく下落した8月上旬以降、GPIFを含む年金基金がリバランスのための買いを入れているとの見方が強まっています。

株価下落により国内株式の比率が25%を下回った場合、GPIFは他の資産を売却して日本株を買い増す可能性が高いです。

60/40ポートフォリオとの比較

多くの年金基金が採用している「60/40ポートフォリオ」(株式60%、債券40%)に比べ、GPIFの資産配分はより均等です。

株式比率を抑えて、やや保守的な運用でリスク分散効果が高くなっているといえます。

個人投資家への示唆

  • 長期的な視点:短期的な市場変動に惑わされない
  • 定期的なリバランス:自身のポートフォリオも定期的に見直す
  • 分散投資の重要性:リスクを分散させ、安定したリターンを目指す

個人投資家の場合、8月の日本株急落の場面で、損失が大きすぎてビビってしまい、損切りして運用をやめてしまった人も多いと聞きます。

GPIFは日本国民の大切な年金資産を長期視点で運用しており、個人投資家のように運用をやめるわけにはいきません。

そんなGPIFが今回の急落局面で冷静にどういう対応をしているか、この行動が長期運用には参考になると思います。

その行動がリバランスと聞けば、それだけ?と思うかもしれませんが、その急落局面に遭遇すると、その行動がなかなか取れないのです。

 

運用の基本は単純です。

「長期視点」「定期的なリバランス」「分散投資」

GPIFを参考に再度確認して、実践していきましょう。

 

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