はじめに
日本株がようやく落ち着きを取り戻しつつありますが、歴史的急落が起きた週には注目主体の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買いも入って相場を支えたようです。
GPIFとは、私たちの公的年金254兆円を運用する世界最大級の機関投資家です。
幅広い銘柄を一気に買うその姿から「クジラ」と称されるようになりました。
今回は、この状況下で注目を集めている「年金マネー」の動きについて、投資初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
なぜ年金マネーの動きが注目されるのか?
GPIFは、株式や債券などに分散投資をしていますが、最近の株価急落で日本株の比率が目標より下がってしまいました。
そこで、日本株を買い増して調整(これを「リバランス」と呼びます)するのではないか、と期待されているのです。
リバランスって何がいいのか?
リバランスは、相場が下がった時に買い、上がった時に売るという、投資の基本戦略につながります。
つまり、「安く買って高く売る」というシンプルな原則を実践しているのです。
GPIFは国内株、外国株、国内債、外国債の4資産に25%ずつの配分を目標にしています。
国際分散投資を実践しているということです。
野村証券の推計では日本株の保有比率は一時23%程度に急低下し、日経平均株価が3万8000円台まで急伸した16日も24.3%と目標比率をなお下回っています。
さらに日本株を買います余力があるということです。
他の投資家への影響は?
今回のように日本株が急落した場面でも、日本株の比率下がった分を元に戻すために自動的に日本株を購入するという動きをするので、相場の下支え効果が働きます。
254兆円と運用している金額も大きいですから、GPIFのような大きな組織(クジラ)が動くと、他の投資家も「これは買いのチャンスかも?」と考えて追随する可能性があります。
過去にも、GPIFが日本株の比率を上げた時に、海外の投資家が日本株を買い増した例があります。
個人投資家が学べること
この「年金マネー」の動きから、私たち個人投資家も学べることがあります:
- 長期的な視点を持つ:年金マネーは超長期の視点で運用されています。短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な目標を持つことが大切です。
- 分散投資の重要性:GPIFは株式や債券など、様々な資産に分散投資しています「卵を一つのカゴに盛るな」というように、リスクを分散させることが重要です。
- リバランスの実践:相場が大きく動いた時にポートフォリオを調整する。この習慣は個人投資家にも役立ちます。
まとめ
株価が急落すると不安になりますが、こういった時こそ長期投資家にとってチャンスかもしれません。
急落局面でも、買い増す投資家は必ずいるということです。
今回のようなGPIFのリバランスの買い増しは、急落した相場を下支えする効果があります。
これを知っていると少し安心ですね。
GPIFのような長期投資の年金基金は相場が急落しようが、運用資産を全て売却して、投資をやめるということは絶対にありません。
長期投資はやめたらおしまいです。
個人投資家の皆さんも年金マネーの動きを参考に、基本に立ち返って、長期分散投資を実践していきましょう。