はじめに
米国債市場は、FRBの金利政策に大きく影響を受けます。
最近、ジャクソンホールでのFRB議長の利下げ宣言を受け、米国債の利回りが変動しています。
逆イールドがフラットニングの方向に動き、2年債と10年債の利回りがどちらも3.9%に収束しています。
これからの金利環境を見据えて、短期債と長期債のどちらに投資すべきか、考えてみましょう。
金利環境と逆イールドの変化
これまでの逆イールド現象は、FRBの積極的な利上げによって引き起こされていました。
逆イールド現象は通常の経済環境では起こりません。
金利は期間が長くなれば高くなります。
この順イールドが普通の状態です。
FRBによって、短期債の利回りが高く、長期債の利回りを上回るという異常な状況が続いていましたが、FRBの利下げ宣言を受けて、利回り差が縮小し、イールドカーブがフラット化しつつあります。
このフラットニングは、今後の金利低下を市場が織り込み始めていることを示唆しています。では、このような状況下で、短期債と長期債のどちらに投資するのが賢明なのでしょうか?
短期債への投資が向いているケース
短期債への投資は、以下のような状況で有利です。
金利がすぐに下がるリスクが少ないとき: 利下げは宣言されたものの、実際に金利が下がるまでには時間がかかる場合、短期債は高い利回りを維持するため、安定した収益を得やすいです。
流動性の確保: 短期債は満期が近いため、資金をすぐに再投資に回したい場合や、金利動向を見極めながら柔軟に動きたい投資家にとって有利です。
政策金利が下がる兆しが見えてから、次の投資戦略を考えることも可能です。
長期債への投資が向いているケース
一方、長期債への投資は以下のシナリオで有利になります。
金利の大幅な低下が予想されるとき: 今後、政策金利が下がり続けると見込まれる場合、長期債に投資することで、将来的に利回りが低下した際のキャピタルゲイン(債券価格の上昇)を狙うことができます。
短期債より長期債の方が、キャピタルゲインは大きくなります。
安定した利回りの確保: もし金利が下がり続けると、将来発行される債券の利回りは低下します。
現在の利回りで長期債を保有することで、低金利時代にも安定した利回りを得ることができます。
これからの投資戦略の提案
FRBの利下げが長期間続くことを予想した場合、長期債への投資がより魅力的になる可能性が高いです。
金利が低下すれば、現在の3.9%の利回りは将来的に非常に有利な条件となるでしょう。
また、長期債の価格が上昇することで、キャピタルゲインも期待できます。
あくまで長期債を長期間保有する場合です。
一方で、金利が急激に下がるリスクが少ないと判断した場合や株価か急落した後の再投資を考える場合は、短期債への投資も検討に値します。
まとめ
FRBの利下げ宣言を受けて、米国債の利回りがフラットニングしています。この状況下では、長期債への投資が有利と考えられます。
金利が下がることで、長期債の価格上昇と安定した利回りが期待できるからです。
しかし、短期的な金利動向や資金の流動性を重視する場合は、短期債の保有を検討するのも良いでしょう。
迷うなら短期債と長期債両方に同額投資したらよいでしょう。