米国株神話の終焉?米国債が20年ぶりの割安水準に突入

はじめに:米国の金融政策転換

米国の金融政策が大きな転換点を迎えようとしています。

2024年9月のFOMCでは、約1年ぶりに政策金利の引き下げが予想されています。

これは2022年3月から続いてきた急速な金融引き締めからの方向転換を意味します。

この政策転換は、単に米国だけでなく、世界の金融市場全体に大きな影響を与える可能性があります。

過去10年間の投資信託のパフォーマンス

振り返ってみると、過去10年間で最も好調だったのは米国株式に投資するファンドでした。

例えば、「野村 世界業種別投資シリーズ(半導体)」は年率27.58%、「NEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信」は22.02%のリターンを記録しました。

これらの高パフォーマンスは、多くの投資家に「米国株式こそが王道、米国株式に投資しておけば間違いない」という印象を与えてきました。

投資家の行動と「米国株式」への偏重

この「米国株式神話」は、投資家の行動にも大きな影響を与えています。

例えば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)といったファンドへの大量の資金流入が続いています。

これも米国株式の好調が背景にあると言えるでしょう。

市場環境の変化と資産分散の重要性

しかし、投資の歴史を紐解くと、常に米国株式が最高のパフォーマンスを出し続けてきたわけではありません。

時には債券や他国の株式、不動産投資信託(REIT)、金などの資産クラスが米国株式を上回るパフォーマンスを示すこともありました。

この事実は、資産分散の重要性を教えてくれています。

様々な資産クラスに投資することで、リスクを分散しながら安定したリターンを得る可能性が高まるのです。

債券投資の魅力が高まる背景

ここで注目したいのが債券投資です。

野村アセットマネジメントの報告によると、米国債は米国株に対して約20年ぶりの割安水準にあるとされています。

具体的には、米国債の利回りが米国株式の益利回り(1株当たりの予想純利益を株価で割った値)を上回っています。

 

直近の数字で確認しましょう。

米国株式の代表であるS&P500の現在の益利回り(PERの逆数)は、3.54%、PER28.22倍です。

一方で、米国債の利回は2年3.92%、5年3.71%、10年3.91%です。

どの年限をとっても、米国債の利回りが米国株の益利回りを上回っています。

米国債投資のリスクは、米国が破綻するか、米国金利が上昇することです。

米国が破綻することは考えられないし、米国金利は利下げ局面です。

米国債投資はほぼノンリスクと言えるでしょう(為替リスクは除きます)。

普通に考えれば、高値を更新している米国株投資より米国債投資の方が、リスクリターンで言うと割安なのです。

過去のデータでは、このような状況で債券投資を行うと、その後1年から3年のパフォーマンスで債券が株式を上回る傾向があるそうです。

まとめ:投資戦略の見直しのタイミング

米国の金融政策が転換点を迎える今、投資家の皆さんも自身の投資戦略を見直すべき時期かもしれません。

これまでの「米国株式一辺倒」の姿勢から、「債券」や「金」を含む多様な資産へのバランスの取れた投資へと、考え方を柔軟に変更することが重要です。

過去の成功体験に固執するのではなく、新たな市場環境に適応し、潜在的な投資機会を逃さないようにしましょう。

債券投資の再評価は、その第一歩となるかもしれません。

 

以下の過去記事を参照下さい。

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