新興国債券は金利も高く魅力的だ。
主要な国の現在の10年国債の金利は以下の通り。
- フィリピン:7.2%
- インドネシア:7.3%
- インド:7.4%
- メキシコ:10.5%
- 南アフリカ:10.7%
- ブラジル:11.7%
- トルコ:28.4%
一方で、新興国株式の配当利回りは主要国の平均で5〜6%程度であろう。
利回りだけ考えれば、当然ながら債券の方が良いとなるが、新興国株式は債券と違って、企業の成長によるキャピタルゲインも狙えるので、どちらが良いか迷ってしまう。
私だったら、迷うことなく、株式を選択する。
それはなぜか。
株式 or 債券というのは、資産だけの選択だが、日本から投資する場合は、為替の変動も考えなければならない。
新興国通貨+株式 or 新興国通貨+債券 での比較となる。
まず、新興国通貨について考えよう。
新興国は成長している国なので、需要に対して、物の供給が不足しており、どこもインフレ率が高い。
新興国通貨はこのインフレに圧倒的に弱い。
インフレ率が高くなると、通貨は下落する。
この通貨の下落幅は意外と大きい。
次に資産で見ると、株式と債券どちらがインフレに強いかだが、圧倒的に株式の方がインフレに強い。
このことから、新興国のインフレ率が高くなりやすいことを考えると、新興国投資は株式を選択する方が良いことになる。
ピンとこないと思うので、極端な例であるが、トルコの事例を見てみよう。
以下のチャートはトルコリラ/円のレートだが、3年でトルコリラの価値が3分の1になっている。
(出所:外為どっとコム)
以下は、トルコ株式とトルコ債券の投信の基準価格だが、株式は152%上昇しているのに対し、債券は−46% となっている。
これは、為替の下落を含めたトータルリターンになっている。
(出所:ウエルスアドバイザー)
株式投資の場合、通貨トルコリラの下落部分を株価の値上がりで取り戻し、それ以上の上昇をしている。
一方で、債券投資の場合、トルコリラ下落を債券の金利で取り戻せていない状況といえる。
このように実際の動きを確認すると、新興国に投資するなら、株式で投資した方が良いのがわかるのではないだろうか。