新NISAは米国株式市場を下支えできるか

2023年10月末の国内投信(ETF除く)の純資産総額は95.7兆円、2か月連続の減少| ウエルスアドバイザー

 

(出所:ウエルスアドバイザー)

 

2023年10月末時点の国内公募追加型株式投信(ETF除く)の純資産総額は95兆7,765億円となった。

純資産額は今年8月末にピークとなる99兆1,693億円となったあと、2か月連続の減少となった。

ウエルスアドバイザーの独自集計では、10月の国内公募追加型株式投信(ETF除く)への純資金流入額は1兆1,800億円となった。

2か月連続で1兆円超の流入超過と高水準の純資金流入が続いている。

 

これは直近の下げ相場の中でも、投信に多額の資金流入が続いている状況であるが、これはNISAによるところが大きい。

6月末時点で「一般NISA」と「つみたてNISA」の口座数が合計1,941万4,261となり、前年末から半年で7.8%増となっている。

このペースだと、来年1月の新NISA時には、2,100万口座に増加しているであろう。

 

NISAの年間購入上限枠はつみたて投資枠、成長投資枠それぞれ現在のNISAの3倍になるのだから、毎月の投信への流入額は、現在の2~3倍(2〜3兆円)になってもおかしくはない。

年間では24兆円〜36兆円の資金流入になるであろう。

 

このほとんどが、オールカントリーやS&P500 などを通じて、米国株に向かうのだから、米国株式市場(約7,000兆円)に対する日本からの資金流入(買い需要)はそこそこ大きいといえよう。

 

来年にはリセッション(景気後退)に入ることが、確実視されている米国経済であるから、これから株式の下落局面も来るであろう。

この時、日本の個人投資家から毎月一定量の資金流入があるのなら、米国株式市場の下支え要因の一つになるのではないか。

これが2024年からNISA制度が大盤振る舞いされた理由(政府の狙い)とも言えよう。

 

もし、米国株式下落局面で日本の投資家が米国株式市場から逃げた場合は、相場は大きく崩れるであろう。

どんな下落局面でも毎月時間分散で長期間淡々と購入していくのが正解であるが、日本の投資家にこれができるか、胆力が試されているのではないか。