10月31日のFOMCを機に、ドル円の為替レートは1ドル151円74銭の今年最安値から、一時2円以上円高に戻った。
これは、これ以上の米国の利上げが一旦無くなったということで、米国債の金利が低下し、日米金利差が縮小した結果だった。
やれやれこれで円安は止まったと見るのは、時期尚早だ。
円の価値を見るには、ドル円の為替レートだけ見ていたのでは、錯覚に陥ってしまうので、注意が必要だ。
以下の記事を参考にしてほしい。
「隠れ円安」が進んでいます。https://t.co/4eWWyQJaaz
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) 2023年11月7日
米ドル以外の通貨に対して円が下落。対ユーロで15年ぶり、対シンガポールドルで38年ぶりの安値圏です。低金利の円を借りて高金利通貨で運用する「円キャリー取引」が拡大しています。 pic.twitter.com/BVnWM6uwpv
この記事のグラフからもわかるように、他の通貨に対しては歴史的な安値更新が相次いでいる。
- 対ユーロで、一時1ユーロ=161円台と08年8月以来の円安・ユーロ高水準を更新
- 対オーストラリア(豪)ドルで、一時1豪ドル=97円台と、4カ月半ぶり円安・豪ドル高水準を付けている
- 対シンガポールドルで、1985年以来の円安水準となる1シンガポールドル=111円台に下落
- 対韓国ウォンで、1ウォン=0.11円台半ばと2008年1月以来の円安・ウォン高水準を付けている
- ブラジルレアルや南アフリカランドなど資源国通貨に対しても、軒並み今年の最安値を付けている
ドル円の為替レートだけ見ていると、ドルより強い(円高)、ドルより弱い(円安)しかわからず、今回のようにドル円で円高になると、ついつい円の価値が上がったように錯覚を覚えてしまう。
この場合の円高は単にドルに対して円の価値が上がっただけだからだ。
実際は、他の主要通貨に対しては、円はずっと下落の一途を辿っており、円の価値は下がり続けているのだ。
それはそのはず、現在世界でマイナス金利の金融政策を続けているのは、日本だけであり、日本は世界一金利の低い国のままだ。
逆に世界の日本以外の国はどんどん利上げをしているという状況なのに。
誰もこのような金利の低い国に資金を預けたいと思わないから、円は買われないので、円高にならないということである。
逆に、この構図を利用して儲ける方法がある。
世界一低い金利の日本で資金を借りて、金利の高い国で運用するという方法である。
これを円キャリートレードをいう。
これが拡大すると、円売りが拡大する。
世界中で、この円キャリートレードが活発化しており、円売り(円安)が進んでいるという状況だ。
日銀がマイナス金利を解除しない限り、この構図(円売り)は続くであろう。
さて、みなさんの手元には、円という金利コストが世界一低い通貨がある。
これまでの流れで考えると、これを円で運用するのか、外貨で運用するのか、答えは簡単である。
もちろん、日銀の政策変更で、一時的に円高になるリスクはあるが、日本は世界一の債権国(お金が余っている国)なので、日銀が世界の主要国より金利を高く設定し続けない限り、中長期的に見れば、円が弱い流れは変わらない。
結論、改めて、円という最弱通貨を外貨で運用することをお勧めする。
その際はNISAを使っていきましょう。