- 1. 東京証券取引所の要請とPBR改善の目的
- 2. PBRの定義と重要性
- 3. 東証の経営改善への取り組みとその背景
- 4. 企業への影響とコーポレート・ガバナンス報告書の公表
- 5. 市場への影響と投資家の期待
1. 東京証券取引所の要請とPBR改善の目的
2023年3月、東京証券取引所は上場企業に対して、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を開示するよう要請しました。
これは、企業のPBR(株価純資産倍率)の改善を目的としています。
2. PBRの定義と重要性
PBRは「株価/1株あたり純資産」の比率で、株価が企業の実質的な資産価値に対してどれほど評価されているかを示します。
PBRの改善は企業価値の向上に直結します。
3. 東証の経営改善への取り組みとその背景
日本の企業は蓄積した利益を次の成長への投資や株主還元に使わず、そのまま溜め込んでいるので、PBRが欧米の企業と比べて低く、日本株が低迷する要因となっています。
なぜ、東証がこの指標の改善を求めているかというと、この資金を自主的に企業に動かしてもらい、株価の改善に繋げたいと考えているからです。
4. 企業への影響とコーポレート・ガバナンス報告書の公表
今回、東証プライムとスタンダードの2市場に上場する約3300社のうち、コーポレート・ガバナンス(CG)報告書で対応策を開示した企業の一覧表を1月15日に初めて公表し、毎月更新していきます。
実際に東証が3月期決算企業について23年7月時点のCG報告書を調べたところ、取り組み内容を開示していたのは、検討中を含めてもプライム上場企業の31%、スタンダードでは14%にとどまったようです。
まだまだ、企業側の意識改革が追いついていない状況のようです。
今回この公表を通じて、PBRの改善に向けての企業の取り組み状況が一目でわかるということなので、横並び意識が強い日本の企業にとってはかなりのプレッシャーになるのではないかと思います。
企業の自主的な動きに任せないで、証券取引所が圧力をかけて、ある意味強制的にこの流れを作っていこうとしています。
5. 市場への影響と投資家の期待
今回の毎月公表が企業側の意識改革をさらに促せば、その努力が株価を良い方向に動かしていくので、日本株全体が恩恵を受けるのではないでしょうか。
特に海外投資家は、この改革効果を期待して、既に日本株買いに動きているようです。
このような期待から、今後、更に日本株のウエイトを高めても良いのではないかと思っています。