日本は借金大国で財政赤字が大きく、どんどん借金が膨らんでいる。
このままでは、ハイパーインフレになって金利が急上昇すると良く新聞などで騒ぎ立てていますが、なぜか今だに、日本は世界一金利が低い状況です。
不思議ですね。
なぜ、日本は世界一金利が低いのでしょうか?
世界の主要国の政策金利
まずは、世界の主要国の政策金利を見てみましょう。
以下の表の通り、マイナス金利は日本のみで、他国と比べて異常なほど、金利が低い状況です。
一時期、ユーロやスイスもマイナス金利でしたが、プラスの金利に転じています。
みんな利上げをしているんですね。
日本がマイナス金利の最後の砦みたいになっています。
(出所:マネックス証券)
なぜ、日銀は利上げをしないのか?
利上げは、インフレ(物価上昇)を抑制するために実施するのですが、日本では他国ほど、物価が上昇していないし、今のところインフレを抑制する必要性がないからです。
昨年12月で物価上昇は前年比4.0%金利、他国の場合、既にインフレ抑制のため、金利を上げていますが、それでもまだ米国は6.5%、ユーロ圏は9.2%、英国は10.5%と物価が上昇しています。
では、なぜ日本はインフレ(物価上昇)にならないのか?
それは、国内での資金需要が弱いからです。
以下は日本の経済三主体(家計、企業、政府)別の金融資産・負債残高を表しています。
国内の資産は、家計2,023兆円、企業1,302兆円、政府720兆円で合計4,045兆円
一方、国内の負債は、家計379兆円、企業1,845兆円、政府1,407兆円で合計3,631兆円
国内の資産−国内の負債=414兆円
日本の国内は414兆円資産が多く、金余りの状態です。
では、この414兆円はどこに振り向けられているのかというと、海外への投資や貸付に振り向けられているのです。
この状態だと、国内の資金需要が弱いため、国内金利は低くなり、資金は海外に出ていって、円安(円売り)になるとう構造です。
(出所:日銀2022年第4四半期の資金循環速報)
日本が世界一金利が低い理由
先ほど414兆円が海外に振り向けられているという話をしたが、これを対外純資産と言います。
実は日本は31年連続でこの対外純資産額が世界一なのです。
日本に次いでドイツ、香港、中国、ノルウェー、シンガポール、カナダと続きます。
逆に、この資産の振り向け先は、圧倒的にアメリカになります。
各国で余った資金が、アメリカという資金需要が強い国に投資されているということです。
このような世界の資金の流れを見ると、世界一金余りの日本が世界一金利が低いという当然の流れを理解できると思います。
日本の金利が上がる時は?
では、日本の金利が上がるときはどんな時か、想像しましょう。
日本の物やサービスの需要が拡大したり、日本への投資が増加した時です。
日本の輸出が増加する、日本のインバウンド消費が増加する、日本に生産拠点を作るために投資が増加するなど。
このような動きで日本の国内の資金需要が旺盛になり、物価上昇の持続とともに、金利も上昇して行くのではないでしょうか。
この時、日銀も政策金利を上げざるを得ないでしょう。