世界一の投資家といえば、ウォーレン・バフェット氏に間違いないであろう。
彼が率いる米投資会社がバークシャー・ハザウェイの株主向けに毎年出している手紙「株主への手紙」で、米国内外の株式相場の高騰は「カジノ的」だと警鐘を鳴らしました。
「カジノ的」というのは、投機的ということだから、株式市場に過熱感があり、割高ということです。
実際に日米株式指数「日経平均・ダウ」とも今最高値を更新しています。
実は、バークシャー・ハザウェイ社の2022年の通期の株式売買動向は342億ドルの買い越しでしたが、2023年は241億ドル(約3兆6200億円)の売り越しに転じていました。
今、同社の投資待機資金(現預金)は最高水準に積み上がっており、市場は割高で投資機会が乏しいと判断している状況です。
実際に簡単な指標を使って、どのくらい割高かみてみましょう。
皆さんも知っている株価収益率(PER):株価/1株利益という指標があります。
これは、1株利益の何倍まで株式が買われているかという指標で、通常この指標は15倍〜20倍の間に収まると言われています。
20倍を超えると割高というイメージかと思います。
以下のリンクを参照下さい。
世界主要株式市場の株価収益率(PER) | 銀行.info - 間違いだらけの銀行選び -
このグラフを見ると、特に米国株、日本株、インド株は20倍を超えており、割高に映ります。
ここで一つ注意点があります。
このPERという指標も、分子の利益に今期の実績値を使うか来期の予測値を使うかで変わってきます。
実績値と予測値に大きな差がある場合、例えば株価が1,000円で今期利益実績値が50で来期予測値が100となる場合では、PERは20倍→10倍となります。
実績値と予測値に大きな変化があればあるほど、この差が大きくなります。
先ほどの各国のPERは実績値で算出しています。
よって、特に利益が急増するであろう市場(特に成長市場)のPERは実績値をとると、割高に算出されます。
以上のような注意点から、各国で単純にPERを比較するという方法は市場の割高を判断するには向かないといえます。
参考値くらいに考えておいた方が良いです。
各国比較というより、それぞれの株式市場の過去比較でPERの水準が割高かどうかを確認した方が良いと思います。
先ほどのリンクに各株式市場の過去のPERの推移も載っていますので確認下さい。
過去推移を見ると、日米インド株とも過去最高水準に割高かというとそういう訳ではなくなさそうです。
ただ、今回のウォーレン・バフェットの警告からも、決して割安な水準ではないことも間違いないでしょう。
そう考えると、今はポートフォリオの株式比率を100%に近くするのではなく、資産分散を考えて株式比率をより抑えたポートフォリオを組むべきかと思います。