日本の長期金利(10年国債利回り)が11年ぶりに1%台に上昇しました。
つい4年ほど前は、マイナス金利だっただけに、急激な金利上昇となっています。
(出所:2024年5月22日付日経新聞)
この長期金利上昇は、日本経済の様々なところに、大きい影響を及ぼします。
単純にいうと、これからの長期の預金者は金利収入が増えます。
これから住宅ローンなどの長期の借入をする人は金利負担が増えます。
長期の借入をする企業も同様です。
家計はもともと資金が余っている主体なので、全体的には、長期金利上昇は金利収入が増えプラスの影響になります。
企業と政府は資金が足りない主体なので、借入や国債発行の金利負担が増えマイナスの影響になります。
ただ、日本の企業は利益が改善傾向、負債の比率は低下傾向にあり、借入の金利負担を超える利益増の貢献を受けているので、特に悪い影響は出ていない状況です。
一方で政府は国債の金利負担が増して悪い影響は出ますが、日本経済全体が好調であれば税収も増え、金利負担増を補っていけるのではないかと思います。
今回の長期金利上昇は、日本経済全体にとっては、それほど悲観することではないと考えています。
逆に金利のある世界になったことで、企業や家計が早めに低い金利で借入をしなければと考えることで、経済の刺激になって良いくらいです。
では、この長期金利上昇局面の投資行動において、注意しなければならないことは何でしょうか。
それは、長期国債(10年以上)に投資しないということです。
金利が1%を超えてくると、ついつい惹かれてしまいがちですが、毎年1%金利をもらっても物価が2%ずつ増えるインフレの局面においては、実質的に資産は目減りしてしまうからです。
実質金利=
名目金利1%-インフレ率2%= ー1%
元本割れしないからという理由だけで、投資してはいけません。
当然ながら、日本の長期国債に投資する投資信託もNGです。
例えばこういうファンドです。
日本超長期国債ファンド-ファンド詳細|投資信託[ウエルスアドバイザー]
この1年で6%下落しています。
これは資産運用の鉄則ですが、長期金利上昇局面では、長期の債券に投資しないということです。
長期金利上昇による価格の下落が大きいからです。
長期金利上昇局面では、株式を選択しましょう。