金の現物購入が急増する理由 - 富裕層の不安と市場の変化

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(出所:Google)

はじめに

金価格が先週1オンス=2,500ドルを突破し史上最高値を更新しました。

1オンスとは、金・貴金属の重さを示すときに使われる「トロイオンス」のことで、1オンス=約31.1035グラムになります。

 

金の延べ棒は見たことはありますか。

この延べ棒の1本当たりの価値が初めて100万ドルに達しました。

 

近年、世界の富裕層が金の現物購入を急増させています。

シンガポールに巨大な金保管施設がオープンしたニュースは、この傾向を如実に表しています。

なぜ富裕層はこれほどまでに金に殺到しているのでしょうか。

最近のマーケット情勢を踏まえて、その背景を探ってみましょう。

経済的不確実性の高まり

世界経済は依然として不安定な状況にあります。

インフレ懸念、金融政策の不透明感、そして地政学的リスクの高まりにより、多くの投資家が安全資産を求めています。

金は伝統的に「安全な避難所」とみなされており、このような不確実な時期に注目を集めるのは自然な流れと言えます。

インフレヘッジとしての金

インフレ率が上昇する中、多くの投資家は資産の実質価値を守ることに関心を持っています。

金は歴史的にインフレヘッジとして機能してきました。

現在の金価格の上昇は、この機能への期待を反映しているとも言えるでしょう。

通貨の価値低下への懸念

世界中の中央銀行によるこれまでの大規模な金融緩和策は、多くの主要通貨の価値低下懸念を引き起こしています。

特に世界の基軸通貨であるドルのこれかでの大量発行により、通貨価値への懸念が示されています。

金は国家や中央銀行に依存しない資産であるため、通貨価値の変動に左右されにくいという利点があります。

地政学的リスクの増大

世界各地での政治的緊張や紛争は、投資家のリスク回避姿勢を強めています。

金は地政学的な混乱時に価値が上昇する傾向があるため、このような状況下で注目を集めています。

分散投資の必要性

株式市場が高値圏で推移する中、多くの投資家はポートフォリオの分散を図る必要性を感じています。

金は株式や債券とは異なる値動きをするため、分散投資の手段として重要な役割を果たします。

中央銀行の金購入増加

世界の中央銀行が金の購入を増やしていることも、金への信頼を高める要因となっています。

特にロシア、中国、インドなどの新興国の中央銀行による金の購入が目立っています。

これはある意味、基軸通貨であるドルの信認が揺らいでいるとも言えます。

テクノロジーの発展と保管の容易さ

金の保管や取引を容易にする技術やサービスの発展も、現物金への投資を促進しています。

シンガポールの新しい保管施設のような高セキュリティの保管オプションは、富裕層にとって魅力的な選択肢となっています。

長期的な価値保存への期待

多くの富裕層投資家は、短期的な利益よりも長期的な資産保全を重視しています。

金は何千年にもわたって価値を保ち続けてきた歴史があり、この安定性が評価されています。

まとめ

金の現物購入の増加は、単なる一時的なトレンドではなく、世界経済の不確実性や投資環境の変化に対する投資家の反応と言えるでしょう。

富裕層のように、金の現物を購入し、厳重に保管するようなコストがかかることはできませんが、金の現物の代替になるものに投資しておくことはできます。

NISAも利用するなら、金価格と同様の値動きのする投資信託やETFを購入すれば良いと思います。

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(出所:ウエルスアドバイザー)