史上最低信託報酬のグローバル株式インデックス投信が登場した。
その名前は「Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)」という。
4月26日から日興アセットマネジメントが取り扱いを開始する。
もちろん、つみたてNISA対象商品なので、新NISAでもつみたて投資枠で利用できる。
なぜ、金融業界に激震が走っているかというと、信託報酬の圧倒的な低さである。
この投信は名前に「MSCIオール・カントリー・インデックス」と入っている通り、グローバル株式の有名なインデックス指数に連動するように作られたインデックス投信である。
全世界株式市場のインデックスについては、下記の記事を参照下さい。
これまで、グローバル株式のインデックス投信では、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」が0.11325%(引き下げは5月11日から)で最も低かった。
業界に激震が走ったのは、今回のTracersオールカントリーの信託報酬は、0.05775%と従来の最低コストの半分近いコストとなっていることだ。
0.11%でも十分低い水準であり、人気も博していたが、なんとこの半分のコストということは驚きだ。
三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」は、これまで業界最低水準を目指すということで、競合商品で信託報酬が低いものが出るたびに、追随してその商品より少し低い信託報酬に引き下げを行なってきた。
この3月31日も引き下げを実施したばかりであった。
今回の商品に対し、三菱UFJ国際投信は、追随しての引き下げは行わない方針である。
要するに、売買委託手数料、有価証券取引税、保管費用、監査費用などの「その他費用」は0.05%前後ある場合が多く、信託報酬で半分になっても、実質的なコストで半分にはならないのではないかという主張である。
確かに私もその通りかと思う。
信託報酬コストが大きいものを比較する時は、それほど信託報酬以外のコストのウエイトはそうほど大きくならないので、単純に信託報酬を比較すれば良いが、ここまで信託報酬が低いと、信託報酬以外のコストも含めた実質的なコストで比較しないといけないと思う。
また、インデックス投信の一番のポイントは、ベンチマークとするインデックス指数のパフォーマンスに近づけることができるかということだが、いくらコストが安くでもこれができなければ、そもそもインデックス投信の意味がなくなってしまう。
安かろう悪かろうである。
今、「eMAXIS Slimオールカントリー」で運用している人は、信託報酬が半分になったからお得といって、慌てて「Tracersオールカントリー」に乗り換えないで、少し運用の実績を見てから、乗り換えても遅くないのではないかと思う。
つみたて投資は長期投資なので、商品内容はじっくり吟味して決めることをお勧めします。
また、このブログでも「Tracersオールカントリー」をトラッキングしてこうと思うので、お待ち下さい。