ドル建ての金価格が初の2,100ドル超えと最高値を更新した。
年初来のグラフを見てみよう。
年初来で+10.61%となかなかのパフォーマンスだ。
もう一つ年初来高値を更新した資産がある。
ビットコインだ。
ビットコインはデジタルゴールドと言って、暗号資産の中では金の位置付けである。
年初来のグラフを見てみよう。
年初来で+151.33%と素晴らしいパフォーマンスだ。
この2つのゴールドの価格推移を見ていると、ある共通点に気づく。
11月から急激に上昇している点だ。
11月から何が変わったのだろうか。
もう一つ以下のグラフを見てみよう。
これは、ドルインデックスと言って、ユーロ、円など他の主要通貨との相対比較でドルの価値を測ったものだ。
点線の11月以降、急激に下がっているのがわかる。
ここまでの3つの価格の動きを繋げると以下のシナリオが浮き彫りとなる。
これまで利上げ一辺倒だった米国の政策金利だったが、インフレの鎮静下とともに、11月から米国の利上げ打ち止めの観測が出て、ドルの価値が下落した。
ドルの価値の下落とともに、ドルの価値と逆相関(逆の動きをする関係)にある金の価値が上昇した。
では、なぜ、ビットコインまで上昇したのか。
ビットコインはもともと暗号資産の中では、ゴールドの扱いだが、機関投資家(運用のプロ)の中では他の金融資産と比べると、暗号資産自体がまだ資産と認められていなくて、信頼の置けない扱いであった。
ただ、ここで11月から近々ビットコインの現物ETFの承認がされるという話が出てきて様相が変わった。
もし、承認されれば、有価証券として認められたこととなり、機関投資家から見ると、この時点からビットコインは信頼のおける資産になる可能性が出てきた。
本当の意味でのデジタルゴールドの始まりである。
こうして、ドルの価値下落とともに、逆相関関係にある2つのゴールドが、代替資産として機関投資家から好まれるようになったため、2つのゴールドの価格が上昇したのだ。
このシナリオから一つ言えることは、ドルは基軸通貨ではあるが、あまりにも大量のドルを発行しすぎて、これまでのように信頼される通貨ではなくなったのではないかということかもしれない。
先日、ペトロダラー体制を作って支えてきた大物の政治家のキッシンジャーが100歳で亡くなった。
これは、ドルの将来を暗示しているのではないか・・・。
ペトロダラー体制については、また別の機会で書きたいと思う。