日米株最高値、米景気陰りに懸念も

はじめに

日米の株式市場が最高値を更新する中、投資家の間で楽観的な見方が強まっています。

この上昇の背景には、米国の金融政策に対する期待と半導体産業の回復があります。

しかし、「1強」とされる米国経済にも減速の懸念が生じており、市場は楽観と慎重のバランスを取る必要に迫られています。

米国の金融政策と市場の期待

市場参加者の間では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年中に利下げを実施するという確信が広がっています。

インフレ率の低下と雇用市場の安定を背景に、FRBが早ければ9月にも金融緩和に転じるとの見方が強まっており、これが株価を押し上げる大きな要因となっています。

半導体産業の回復

半導体産業は2023年の低迷から脱し、2024年に入って顕著な回復の兆しを見せています。

特に、AI(人工知能)関連の需要増加が業界全体を牽引しています。

NVIDIA、TSMCなどの主要企業が好調な業績を発表し、これが技術株全体の上昇を後押ししています。

「1強」米国経済の現状

米国経済は他の主要国と比較して強い回復力を示しています。

失業率の低下、個人消費の堅調さ、企業業績の改善など、多くの経済指標が良好な数値を示しています。

一方で、世界2位の中国経済は不動産市況の悪化などで、景気が減速しています。

欧州経済もウクライナ紛争の影響もあり、経済は必ずしも強い状態ではありません。

この米国「1強」状態が、グローバル投資家の資金を米国市場に引き付ける要因となっています。

米国経済の減速懸念

一方で、株式市場の過熱に対する警戒感も高まっています。

株価収益率(PER)の上昇や、一部のテクノロジー企業への過度な期待など、バブル形成の懸念も出ています。

また、地政学的リスクや予期せぬインフレの再燃なども、潜在的な脅威として認識されています。

日本株市場の動向

日本株市場も最高値を更新していますが、その背景には円安の進行や企業のガバナンス改革、積極的な株主還元策があります。

特に、半導体関連企業や自動車メーカーなどの輸出関連企業が好調です。

先ほど米国1強と記述しましたが、世界の工場である中国経済低迷の中、半導体、自動車などの分野で日本製品への需要が強まっており、日本企業の業績を大きく押し上げています。

円安で海外投資家の日本株への関心も高まっており、これが市場を支える要因となっています。

投資家への示唆

日米株とも最高値更新ということで、PERなどの指標からも高値警戒感も出始めています。

米国は利下げを視野に入れ始めているということは、景気が思わしくないというサインということになります。

歴史的に、逆イールドカーブから利下げに転じた場合は、株式市場は強い下げに見舞われる可能性があります。

米国株には下落への備えが必要ということでしょう。

もちろん、世界の株式時価総額の65%のシェアを持つ米国株が下がれば、日本株ほか世界の株式市場に波及しますので、株式自体への備えが必要ということです。

このような市場環境下では、ポートフォリオの分散がこれまで以上に重要となります。

まとめ

日米株式市場は楽観的な見方を反映して最高値を更新していますが、同時に様々なリスク要因も存在します。

投資家は、現在の好調な市場環境を享受しつつも、潜在的なリスクに対する備えを怠らないことが重要です。

備え方は色々ありますが、まずは、株式と異なる資産クラスを持つようにしましょう。

何の資産を併せ持てば良いかというと、このブログでは何度も書いていますが、「金」になります。

まずは「株式」と「金」でポートフォリオを構築して下さい。

その後で、債券をどれだけ入れるか考えたら良いと思います。