「弱い円」政府が問題視するわけ:自分の資産は自分で守ろう

はじめに

外国為替市場で11日夜と12日夜に円相場が急伸しました。

1ドル161.70円まで円安に振れていた為替が、157.80円と約4円ほど円高になっています。

市場では政府・日銀が円買い・ドル売り介入に踏み切ったとの観測が浮上している様です。

為替介入の実態と限界

3月19日の日銀のマイナス金利解除から、4月29日に円買い介入を実施して以来の介入になります。

4月29日の介入でもそうでしたが、この為替介入で一旦は円高に行くものの、これは一時的な効果に過ぎません。

円安が日本経済に与える影響

振り返ってみると、2020年初めに1ドル=109円程度だった為替レートは、2024年6月末には160円台まで下落しました。

これは4年半で日本の資産価値が米ドルベースで32%も目減りしたことを意味します。

実はこの円安は日本の国民資産に大きな影響を与えています。

この間、日本の株式市場(株式時価総額)は約2倍になったり、都市部のマンション価格は約1.3倍になっています。

円安で資産価値が米ドルベースで32%目減りしたとしても、株式、不動産などの資産は影響を受けていないことになります。

一方で、人材や文化財、自然、インフラなどの市場原理が働きにくい資産は、著しい価値の低下に直面しているとも言えます。

円安がもたらす「日本バーゲンセール」現象

海外の人は日本に旅行に来ると、日本食の美味しさ、新幹線などの交通インフラ、自然の豊かさや人のサービスに感動をしていますが、円安で日本のあらゆるものが安くなっており、お得に映るから当然と言えるでしょう。

日本自体が円安でバーゲンセールの状態ということになります。

政府の対応と今後の展望

円安が進めば進むほど、日本の国富の海外流出となることから、日本の政府にとって死活問題ということもあり、今回のような大規模の為替介入に踏み切ったのでしょう。ただ、これで円安の流れが止まるとは到底思いません。

日銀、政府の対応の遅れ

円安の根本的な問題解決には至っていないので、しばらく経つとまた円安に向かっていく、この繰り返しかと思います。

この円安には長期的対策が必要になります。

その対策の一番は日本の政策金利の変更(利上げ)です。

今、米国は景気が思わしくないことから、急激に上げた政策金利を利下げの方向で考えています。

このタイミングで日本は政策金利を米国の政策金利に段階的に近づけていけば、円安の方向性に歯止めがかかるかと思います。

ただ、段階的な利上げは日本の景気を冷やしかねないので、日銀や政府は慎重になりすぎて、対応が遅れると思われます。

まとめ

日銀や日本政府の円安対策の対応は遅れることを考慮すると、引き続き円安対策をとっておく必要はあります。

オーソドックスに海外資産(円以外)への投資という通貨分散の方法もありますが、私がお勧めするのは、日本株への投資です。

日本株(日本企業の価値の集合体)は市場原理が働くので、円安になったとしても、その分日本株は上昇します。円安対策になり得るのです。

個別株を購入しなくても日経平均株価やTOPIXなどのインデックスで十分です。

NISA枠で日本株への投資を考えてみて下さい。